液体窒素でお料理


「実験ネタにでもどうぞ」と、液体窒素を10リットルほど貰った。

液体窒素

意外と重くて、10キログラム以上はある。なんて言ってる場合じゃなく、
いきなり貰っても、何に使えば良いのか困ってしまう。そこで、

スポーツの後に、お風呂上がりに。
汗をかいた後に喉の渇きを瞬時に癒す、究極の爽快ドリンク...

それが「液体窒素」だっ!!

というネタを思いついたが、まだ命が惜しいためボツとなった。代わりに、お料理に使ってみるのだ。



液体窒素処理中の様子 大気圧での液体窒素の沸点は、77.348K (摂氏 -195.802 度) と、室温と比較して非常に低いので、小出しにして使うときは、適切な容器を選ばなければ、容器のと温度差だけで豪快に沸騰しながら気体になってしまう。ジュワー瓶があればベストだが、そんなものはないので、ここでは簡易的に保温性の高い発泡スチロール製のカップラーメン容器を使うのだ。何の自慢にもならないことだが、深冷液化ガスを扱う際には着用すべき皮手袋もしていない。凍傷に注意しながらのスリリングな調理実習だ

例として、すいかを液体窒素の中にじゃぼんと浸けてしまったところが、右の写真である。冷やされた空気が飽和して溢れ出た水分が白い湯気を上げる。カメラの露出が遅いため、まるで妖気でも出ているかのような絵になっているが、辺り一面を覆うスモークの演出が、調理場には欠かすことのできないマッドな雰囲気を醸し出してくれるのである。

こんな按配にどんどん調理してゆき、作ったものは、全て一口残さず食べるのだ











ところで、この調理および試食風景を目撃した友人が、こんなことを言ってきた。

「正気か、お前は!?」

……うっ……

「も、もちろん大丈夫。単なる窒素やから、どうせ蒸発して無くなるやん」

「でもな……

言うな! 頼む、頼むからその続きは言わんでくれ。そんなことは承知の上なんだよ。

「……液体窒素に不純物が混じってる可能性だってあるやろ。蒸発したら残るやろが」

グサっ。無言の嘆願も虚しく(無言だから当たり前)、容赦なく肺腑に突き刺さる一言。

……フッ あんたは良い子だねえ。でもね、
誰かがこれをやらなきゃダメなんだよ!


※ 別にやらなくても、誰も困りません。


真面目な話...液体窒素そのものは悪いものではない。ゴミなども含めて何らかの不純物が混じっているとしても、その量は極めて微量だと思うが、だからといって普通に買った液体窒素が食品調理用に適しているかどうかは分からない。また、口内の粘膜や舌は低温に対してあまり強くないため、極低温の食品を頂くにあたっては、食べ方を間違うと口内が凍傷になる可能性もある。

要するに、体を張っていつでも死ねる覚悟のない奴は、真似するなってことだ。良いかな?


2000/06/04 公開
2000/06/25 配色およびフッターを変更,文章を少し訂正
2000/07/05 スイカバーの写真を密かに追加



制作 − 突撃実験室