ジャスミン米とタイのカレー


いわゆる「タイ米」ってやつを少しもらった。

ジャスミン米(約一合)

一括りに「タイ米」と言っても色々な種類があり、この米は「ジャスミン米」というものだ。タイで食べられている米の中でも最高級の品種で価格も高く、ほかの品種と較べると香りが良いそうだ。

何年か前に米騒動が起きたとき、政府がタイ米を輸入したところ「不味い」「日本人の食生活には適さない」と散々な評価を得たことはご承知であろう。タイ米にはそれなりの食べ方がある、タイ米だけを別個に売るならのまだしも、多品種の米を混合した「ブレンド米」は酷いものだとの批判もあった。

私事だが、食糧庁に勤めていた親類は真っ先に非難の的となった(笑)

米粒の比較

米は、粒が短く丸いジャポニカ米と、粒の細長いインディカ米に大別できる。ご存じのように日本で主に食べられている米は前者だが、タイ米などは後者だ。世界的に見れば、ジャポニカ米はマイナーで、インディカ米の生産量の方が圧倒的に多いらしい。米粒の長さを比較してみた(上:コシヒカリ/下:ジャスミン米)。

で、米を炊きたいのだが、正しい炊き方が良く分からない。調べたところでは、

  1. 米を研ぐ
  2. 鍋一杯の沸騰した湯で茹でる
  3. 米粒が透き通ってきたら湯を捨てる
  4. 水が無くなるまで弱火で蒸らす
といった手順が本来の方法らしい。

でも、なんだか面倒くさかったので炊飯器に仕事をしていただく。日本の米を炊くときとまったく同じように、米と水を炊飯器に放り込んで炊飯ボタンを押し、あとは待つだけだ。

炊いたタイ米

しばらくすると、湯気に混じって炊飯器から漏れてきた独特な芳香が部屋を包み込んだ。日本の米を炊いたときの香りとは随分と異なるが、香りそのものを積極的に楽しんでも良いような、心地の良い匂いだ。

米騒動のとき、タイ米といえば巷の話題は芳しくなかったが、実際はどうなんだろう。品種や炊き方にも左右されると思うが、少なくともここでは違う結論が出た。炊きあがりは、上の写真の通りである。

普段から食べている日本のご飯と較べれば粘性は少ないが、「パサパサだ」というほどではない。特にパサパサ感を求めるときは、やはり正規の炊き方でないといけないようだ。お味も思ったほど悪くなく、香りが強いので好みは分かれると思うが、それさえ気にならなければ、米自体の香りと甘みだけで食べられる。逆に、漬け物なんかとは合わないと思うが。

さて、これだけでは寂しいのでおかずの登場。

タイのレトルトカレー

背面

同時に、タイのレトルトカレーももらった。タイ語で色々と書いてある能書きは残念ながら読めないが、英語で、Yellow Chicken Curry と書いてあるのは分かる。直訳すれば、「黄色い鶏肉カレー」だ。食べ方として正しいのかどうかはわからんが、炊いたジャスミン米の上にこれをかけて、いわゆる「カレーライス」にすれば美味そうだ。

ジャスミン米カレーライス

さて、先に紹介した Yellow Chicken Curry とやらをお湯で暖めて、炊きあがったご飯の上に撒いてみた。ご覧の通り、具は鶏肉とジャガイモだけのシンプルなもの。粘性がなく、日本で売っているドロドロとしたレトルトカレーと較べれば液体に近く、混ぜなくてもかけるだけでご飯と馴染んでいく。

ちなみに、わざわざ Yellow と銘打つほど黄色くないところが詐欺っぽい(*1)。

一口目から辛い、かなり辛口だけれど激辛というほどでもなく、とてもクリーミーな口当たりが美味しい(ココナツクリーム 65.4% って書いてあったし)。ちなみに、日本のレトルトカレーのような「露骨なカレー風味」は殆どない。クリームシチューにスパイスをたっぷりと入れて辛くした、という説明が一番近いと思う。

2001/06/02追記:
  1. この "Yellow" とは、色のことではなく使われているスパイスの種類のことだそうです(ほかにも、Green Curry や Red Curry などがある)。あまり黄色くないのは、そのためだそうです。
ご指摘ありがとうございました。


2001/05/26 公開
2001/06/02 補足を加筆


制作 − 突撃実験室