多事毒論(2002年10月分)


第六感
2002年10月21日(月曜日) 雨

急に寒くなったせいか、微妙に風邪っぽい。年中ほぼ同じ服を着ているせいか、身体が冷え行く空気に慣れていないこの時期はどうも苦手だ。

ちょっと前から目を付けていた、近所の台湾料理の店に行ってみた。清華婁という店で、もしかしたら昔からあったのかも知れないが、建物が建て直されたのをきっかけに見付けた店だ。新築したばかりなので店は綺麗だが、佇まいは見るからに大衆食堂風の飾らない作り。内装もこれまた安っぽさを極めていて、地方都市郊外の幹線道路沿いにあるようなプレハブのラーメン屋に毛が生えた程度と、B級な雰囲気をたまらなく良い感じに醸し出している。自動ドアの窓ガラスにベタベタと貼られたスナップ写真付きのお品書きによると、一皿数百円〜千数百円程度と比較的良心的な価格の一品料理が中心。ちょっと美味いものを食いたいときに、男一人でも気軽に立ち寄れる店の条件というのは、まあこんなところだろう。

友人に、将来あそこは美味い店になるに違いないと、開店工事をしているときからマークしてしまう人がいるのだが、一種の第六感だとしか思えない能力を客観的に分析すると、こうした点を見ているのかなあ。さすがにあれには叶わないが、わたしの勘も一応は外れていなかったらしく、大衆食堂として見ればかなり美味しい店だと思った。オバチャンも感じがよかったし。



大掃除
2002年10月20日(日曜日) くもり/雨

わたしが友人と会うときに、なるべく相手の家に行ったり、レストランなどを使うようにしているのは、なにも自宅に来られるのがイヤだからではない。いつも凄まじく散らかっているので、半月ほど前から入念な準備をはじめない限り、とてもではないが人を招き入れることなどできないのだ。それでも何らかの理由でやってきた人の中には、あまりの汚さにいてもたってもいられず自主的に掃除を始めちゃった人や、お泊まりの場合では、自分の寝る場所を確保するために掃除を手伝わざるを得なくなった人もいる。つまりは、こうした被害者をさらに増やさないための配慮として、あまり人を家に招かないようにしているわけだが、そもそもわたしが普段からマメに片付けをしていればば根本的に解決するのではないか?

――という当たり前のことに気付いて本格的に整理を始めたのだが、安寧秩序の光は一向に見えてこない。そもそも、モノの埋蔵量はすでに部屋の許容範囲を遙かに超えている。どこかに無理やり押し込んであったものを整理のために引っ張り出すと、それまで空いていた僅かな空間が作業スペースのために塞がれてしまうため、なんだか余計に散らかった気さえしてしまう。たまたま BGMで流れてきた「まだ見ぬ陸を信じて/なぜに鳥は海を行けるの」と歌う中島みゆきの声が涙を誘うほどだ。わたしは捨てることがどうも苦手で、今後まず使いそうにないモノでもつい溜め込んでしまう方だから、こんなことになるのだろう。我ながら、破れたシャツみたいなものをよく何年も大事に取ってあったもの。たぶんウエスになる予定だったと思うのだが、もう忘れてるし・・・今度こそモノを大幅削減するぞと決心して、こんなものは全て廃棄処分だ。

しかし、家具屋だのホームセンターに何度か足を運んで整理に必要と思われる物品を買い込んでしまったから、モノの総量なんて捨てる前とほとんど変わってないかも。既設のものがすでに限界を超えていたとはいえ、書棚が一つ増えてしまったし。。



イギリス行き
2002年10月19日(土曜日) くもり/雨

1月のアメリカ、8月の台湾に続いて、11月に今年三度目になる海外旅行――イギリス行きが確定した。弟がロンドンの大学に留学しているので、生活指導を兼ねてイギリスに乗り込む計画は前からあったのだが、勤続何十年かの祝いで親父が特別休暇をもらったのをきっかけに親が行くと言いだして話が具体化、お前も一緒に来いという誘いがあったのだ。しかし、今年は旅行が多かったりでただでさえ財政難に陥っているところ、また海外旅行なんぞやったら、今度こそ生活がままならなくなる。初めに話があったときは断る気でいたのだが、家族旅行なんてできる機会は今後そうあるわけではないから旅費は出す、というありがたいことを親が言いだし、それならばというわけでわたしも行くことにした。

頭が痛いのはプランだ。さほど広い国ではないにしても、一週間足らずでイギリスの主要な場所を回ろうとすると、あまり悠長なプランは組めない。一人旅なら、強引な日程でも体力勝負でこなすという解決方法を当たり前で選択するところだが、親が一緒ではそういうわけにもいかない。となると、ある程度は取捨選択していかなければならないのだが、母親という、わたしとはまったく趣味の合わない人間がいるから困ったもの。母親の希望をそのまま聞いていたら、いわゆる観光地ばかりを詰め込んだような、パックツアーと変わらないものになってしまう。そういうところが必ずしも悪いと言いたいのではないが、せっかくの個人旅行なのだから、有名どころだけで終わるというのはやりたくない。わたしには、ロンドン周辺で無難に過ごしたりするのは耐えられないのだ。

それを考えると、もっとも平和なプランは「現地でいきなりぶち切れて別行動」作戦かも知れない。突発的に発生した事件のように見せかけて、実はウラの日程表が予め用意されていたという茶番劇。



簡易手錠
2002年10月16日(水曜日) はれ

気付いた方も多いと思うが、突撃実験室のインデックスページのレイアウトを一新してみた。スタイルシートのお勉強のために、随分と前に実験的に作ったものだが、そのときは使う気もなくそのまま放棄され、そんなものを作ったことすら忘れていた。ところが、昨日の夜にひょんなことからサルベージされ、勢いだけで少し手直しして使われることとなった次第。従来のものと比べれば、どことなく怪しげな雰囲気が薄まり、かなり明るい感じになったと思うが、果たしてそれは突撃のノリに適合しているのか、という自問自答がなかったわけではない。案の定、今朝いつものように職場から自分のサイトを見てみたら、ヘアスタイルを大改造したあと鏡に写る自分の姿に認める違和感と似たような感覚があったが、そのうち慣れることだろう。

怪しさを排除する方向なら、まずその原因の九割を占める看板娘を引きずり下ろしなさい、というご意見も一部にあることだろうが、馬耳東風(笑

ふとインシュロックの袋を見たら、「指など身体の一部をしばらないでください。一度しめるとはずれません」という注意書きを発見。アメリカの映画なんかでインシュロックを手錠の代わりとして使っているのを見たことがあるが、あれをやるなってことが暗に言いたいのだろうか。映画だけではなく実際に使っているようで、Coast Guard のサイトにその様子の写真が掲載されている。ちらっと聞いたところによると、もともとインシュロックは簡易手錠として使うために作られ、そのあとにケーブルなどを束ねるためにも使われるようになったのだとか。



長野へ
2002年10月14日(月曜日) はれ

長野の日。例のごとく中央自動車道は下から眺めるだけにとどめておき、一般道を走るのだ。何度か往復していると傾向が見えてくるもので、深夜早朝の比較的飛ばせる時間帯に、どう頑張って走っても、横浜の自宅から諏訪南IC付近まで3時間半ほどかかるようだ。今日は可能な限り流れの良い時間帯を狙って午前3時過ぎに自宅を出発したのだが、それでもあまり変わらなかった。捕まったら免停は間違いない速度で中央道を飛ばせば、相模湖ICから諏訪南ICまで小一時間で行けるのだが、横浜から中央道の相模湖ICへ行くのに1時間半ほどかかるので(八王子へ行っても似たようなもの)、変わるとしても小一時間程度という計算になる。時間とカネ、秤にかけてみると、そのために3,000円以上の通行料金を払うのは、費用対効果の面でいかんせん良くない気がするのだ。

原因を推測するに、R412, R413, R20 のどれもに山間区間が存在し、深夜でも大型トラックの通行が多くてあまり速度の上がらず、追い越しはほとんど不可能で、しかも工事のために片側交互通行をあちこちでやっていたりするからだろう。そこへ至るまでの R16も、わざとやっているとしか思えないほど連係の悪い信号が多すぎるせいで、深夜でさえあまり快適に走れる道路ではない。連休初日の午前中といった明らかに混雑しそうな時間帯を除けば、こうした道路を通る限り、何時に出てもトータルの所用時間はあまり変わらないのかも。辛いのは帰りだ。今日のような連休の最終日には、中央道に行楽帰り車が集中し、上野原や小仏トンネルあたりが深夜まで渋滞している。渋滞を嫌って一般道に抜けてくる車があるためか、こんなときは平行する甲州街道などでも必ず渋滞に遭遇する。

傾向としては上野原近辺や、藤野駅前付近、酷いときは R412全体とか。ちょっと個人的なメモでした。



ケーブル敷設
2002年10月13日(日曜日) はれ

ほとんど朽ち果てていた同軸ケーブルを光ファイバに張り替える計画を進めていたところだが、取り敢えず施工完了。おかげで、ちょっと大きなファイルを一つ転送するのに何分もかかっていたのが、瞬く間に終わるようになり、快適になったというより、やっとLANがLANとして機能するようになった気分だ。両端では、やたらと安いメルコのメディアコンバータで 100Base-TX に変換してるが、いまのところ問題はない。写真の青いケーブルが光で、2芯あるのは、双方向の通信を行うのに個別の芯線が必要だから。ちなみに、比較的長距離になると、上りと下りで違う波長の光を使って一本の芯線に通す WDM(波長分割多重)を使うのが最近のトレンドのようだ。NTT東日本のメトロイーサ(西日本ではアーバンイーサ)を引いたら、そうなっていた。

いちばん面倒だったのが、ケーブルを窓から外に出す場所だった。当然ながら、窓を開けてケーブルを通すだけならわけないことだが、そうするとケーブルの厚みで窓が完全に閉まらなくなるので、何らかの対策をしないといけない。エアコンの配管を窓に通すときに用いるスペーサを使ってはどうか、という提案はあったのだが、値段を聞いたら高かったし、たかが数ミリのケーブル一本を通すために、そんな大げさな対応はしたくない。なにか良い方法はないものかと考えながら、ホームセンタに行って見付けたのがバインダーという、プラスチック製のモールだ。アルミサッシの出っ張っている部分に、こいつが上手いこと挟まり込むのだ。窓を閉めると、コの字型になっている窓枠にモールが入り込む形で密閉するから、一緒に買ってきた隙間用のスポンジテープが無駄になるほど良い具合だった。

バインダーとやらは1000mmのものしかなく、1本では長さが足りないので2本使う(材料費500円+使わなかったスポンジテープ98円)。そのままでは窓枠に当たるところがあったので、窓の構造に合わせて不要な部分を少し削り取り、さらにケーブルを通す穴を加工しただけで作業終了。現状合わせで適当に加工したので仕上がりは少々雑だが、結果として少なくとも雨風は漏れてこない程度にはなった。すべての窓でこうも上手く行くとは思えないし、モールが割れる恐れもあるので開け閉めの多い窓には使えないが、条件を限定すれば活用できるはず。窓にケーブルといったものを通す必要のある方は、参考までに。



続2・下水
2002年10月10日(木曜日) はれ

誤解があるとわたしとしても心苦しいので、マイナスイオン日記さんの昨日の雑記に対するご見解にリンク。もっとも、マイナスイオンの話は陪審員を説得するための法廷戦術として、いぢめる気まんまんで書いたんですが(笑)



続・下水
2002年10月9日(水曜日) はれ

一昨日書いた「下水」について、マイナスイオン日記さんが反論っぽい話を書かれたりしたので続編。わたしは、これといった根拠があるわけでもないのに、やたらとせっけんの優位性を主張するのはちゃんちゃらおかしいと言いたいだけである。下水の処理過程において、一般的な合成洗剤なら微生物によって問題なく分解される(リンク先は横浜市下水道局)。敢えて比べれば、せっけんの方が合成洗剤よりも微生物に分解されやすいのは事実であるとしても、物質によって生分解性に違いがあるのは当たり前のことで、それをもって「せっけんを使いましょう」などと言うのはデータの針小棒大な解釈に過ぎない。重要なのは、下水処理場にやってくる現実の生活排水が無理なく処理できているかどうかであって、実際的な見地から見て合成洗剤を含む汚水が処理可能なら、そういうケチ臭い比較をやることにいかほどの意味があるというのだろうか。

下水処理場が何とかしてくれるから下水には何を流してもよい、と言いたいのではない。廃油など下水に捨てるべきでないものもたくさんあるし、そんな極端なことはともかく、水は汚さないに越したことはない。そうした見地からは、せっけん、合成洗剤、どっちを使うにしても使用量を適切にするといった個々人の配慮があって然るべきだだろう。しかし、常識的な範囲で使っている限りは、生活排水の浄化を目的としている下水処理場にとって困るようなものではないと考えるのが妥当ではないか。いまは処理可能であっても、これから合成洗剤の使用量が急増するから近い将来に処理ができなくなるかも知れない、という状況にあるわけでもない。それなのに、やたらとせっけんせっけんと使いたがるのはいかがなものか、と言いたいだけである。

ついでに書くと、せっけんか合成洗剤か、といった論争の背景には、ほぼ間違いなく、お馴染み「天然=安全、合成=やばい」の二項対立が存在することにご留意いただきたい。せっけんなどのテレビCMなど見ていれば傾向は分かると思うが、たとえば天然植物成分から作られていることがやたらと強調される。要するに「天然成分から作ったせっけんは健康的で環境によく、人工物である合成洗剤は不健康で環境にも悪い」という正しくない理屈を信じる方々がターゲットなのだ(ノーベル賞が二人も出る国で、それが市場として成立するのも悲しい話だが…)。このノリで、やたらと高価なせっけんを買わされている人もいることだろう。たとえば、マイナスイオン日記さんのご指摘に従い、Google で「下水 処理能力 洗剤 濃度」を検索すると、「図解で知ろう!合成洗剤編」というページが第一ヒットに出てくる。

同ページには、「合成界面剤はその微生物を殺してしまうので処理能力が極端に低下してしまいます」などと書いてある。おやおや、横浜市下水道局の見解とはずいぶんと違うが、きっと横浜の下水道局の人間は分かってないのだろう。取り敢えずこれを正しいと信じることにして、トップページのリンクをクリックすると「環境といのちを守る会」というページが出てくる。「合成洗剤追放全国推進本部」「エコ・グリーンショップ」といった文字列を見ただけで、言いしれぬ警戒感を覚える方が大半だと思うが、それで頭がクラクラするのはあなたが不健康である証拠だ。そんなあなたには、「健康生活マーケット」から「環境浄化の笹炭」を選ぼう。「パソコンの電磁波を強力にカット!」「お部屋や寝室にマイナスイオン効果のある癒しの空間を作ります」とのこと。うわぁ、でた〜。

というわけで。せっけん賛辞の根拠のなさや、アトピービジネスのような商法の対象であることを理解した上で、それでもなおせっけんを好んで使いたいというのなら、都市部で粉石けんを使うのは贅沢?を読まれたい。「100%天然植物成分」なんて表示、環境を考える人にとっては、森林の破壊を推進してますよと言っているようにしか聞こえないのでは・・・。



下水
2002年10月7日(月曜日) 雨/くもり

どうやら、モニタがくたばってきたらしい。画面幅がヒクヒクと揺れ動いたり、画面全体に細かい波模様が入ったりするような感じだ。わ〜、17インチ買ったの? いいね〜 なんて言ってた時代から使っているヤツだから、そろそろガタが来たとしてもいいころなのだろう。修理したらまだ使えるはずだが、買い換えるなら、いまは液晶モニタを買う人が多いのかな。住宅事情を考えると薄いにこしたことはないが、個人的には CRTの発色がもっとも自然に感じられるので、いまだに何となく抵抗があるのだ。とにかく、CPUがGHz単位で動くようになってからはパソコンというものにあまり興味が無くなり、こっち方面の散財をしなくなってから色んなものが怪しくなってきてる・・。最近、秋葉原へ行くとよく分からないものばかりだ。

Googleに「せっけん 洗剤 環境」と入れて検索してみると、やたらとせっけんを賛辞する人が相変わらず多い。日本の人口に対する下水処理普及率は、平成13年度末で 63.5%と比較的低いので、河川などに流れるとそれぞれこんな影響がある、といった根拠を挙げること自体は悪いと思わないが、一方で、下水処理場ではこう違うといった話が出てこないのは不思議なことだ。実際のところ、下水処理場で処理される際にはどちらもあまり変わらないので、結論ありきでとにかく合成洗剤バッシングをやりたい人にとっては、下水処理によって驚くほど綺麗な水に転換できるという事実は、実に都合の悪いものなのかも知れない。家庭排水に含まれるのがせっけんと洗剤だけならともかく、どうせもっと汚い排水が出ているのだから、正しく処理されることの方が理想的なのでは。

少なくとも、ほぼ全世帯の下水が処理されている地域(横浜市もそうだな)で、せっけんか、洗剤か、なんてぎゃあぎゃあ騒ぐのはおかしな話だろう。それともこういう人は、すべての下水は垂れ流しで河川はドロドロと、まるで昭和40年代のノリで考えているのかなあ。



光ファイバのコスト
2002年10月6日(日曜日) くもり/雨

光ファイバケーブルなどのコストに悩んでいるのは、大手の通信事業者だという。最近は、光ファイバを使ったインターネットの接続サービスが一般家庭向けにも提供されるようになってきたが、一般家庭がターゲットであると、加入に際して青ざめるような工事費用を取るわけにはいかないからだ。実際、光ファイバ系の接続サービスに加入して請求される工事費用は数万円程度だが、これでは、工事の実費すらまかなえないだろう。事前調査や敷設作業に携わる作業員の人件費もかかるし、ケーブルなどの資材もいる。場合によっては、高所作業車なども連れてくるのだから、どう考えても採算の取れる金額ではない。採算を度外視できるのは、それを「投資」と見ているからだろうが、毎月何十万も何百万も稼ぐ専用回線などとは違い、こちらは一万円前後の月額料金から回収しなければならない。

早い段階から光ファイバ網を張り巡らしている大手の通信事業者は、どちらかといえば、専用回線といった高い品質が要求される通信サービスを前提に設備投資を行ってきたといえる。料金は高いが、多くの重要通信を担うに足る信頼性を確保するために、それなりのコストをかけてきたのだ。ところがここにきて、同じ芯線をインターネット接続のような安価な通信サービスに転用するというのだから、コスト的に厳しい、と言いたくるのも当然だろう。新規参入するIP通信専門の事業者なら、信頼性の面でさらに割り切った考え方をするところもあるに違いない――価格重視の家庭向けIP通信に、専用回線並の信頼性は不要だ。事故率は少し上がっても、コストが半分になるのならそれでいいじゃないか、と。信頼性重視のサービスを提供してきた老舗なら、ヤクザみたいな事業者と張り合う思いなのかも知れない。



ケーブル張り替え計画
2002年10月4日(金曜日) はれ

以前、突撃実験室のLANに 10Base-2(同軸ケーブル)の区間が存在していることを書いたが、ようやくこいつを光ファイバケーブルに張り替えて 100Base-FX 化を図ることにした。いま使っている同軸ケーブル敷設した際に、敢えてUTP(要するに普通のLANケーブル)ではなく同軸を使ったのは、ケーブルの延長が長めだったうえに、フロアを跨ぐところは露出のままビルの外壁を這っており、UTPでやるにはかなりの不安があったためだ。シールド付きのSTPなら屋外で使えるやつもあるにはあるのだが、当時はまだ 10Base-2 もそれなりに使われていたので、同軸でも良いだろうと、比較的安価な無線用の 3D-2V を引っ張って強引にLANを通したという経緯があったりする。

しかし、屋外で何年も使っていると、ケーブルの耐候性が問題になってくるようだ。最近、パケットの流れが極端に悪くなってしまい、なんでだろうと思ってケーブルを点検したら、えらいことになっていた。西日が直に当たったりして過酷な環境に晒されている部分は、もう表皮がガビガビになって完全に角質化している。下手したら、そこから雨水が染み込んで、中のアミ線は錆び錆びになっているかも知れない。誰が見ても、ケーブルの劣化を真っ先に疑いたくなる状態である。それでも騙し騙し使っていたのだが、最近はLANで数十キロバイト程度のファイルを転送するのにも苦痛を感じるほどの実効速度になってきたので、とうとう耐えられなくなって張り替えることにしたわけだ。

LANと言えばツイストペアが主流ではあるけれど、シールドのあるなしにかかわらず、やはりツイストペアを屋外で使うのは何となく不安を感じる。だが、いまさら同軸ケーブルなんてレガシーなものを使う気にはならないので、光ファイバを使うことにした。最大の難関は予算だ。まともにやったら15万円は下らないが、知恵と工夫と執念を駆使して、5万円以内で上げることを目標にする。まずは、100Base-TX と 100Base-FX の相互変換を行うメディアコンバータを Yahoo! Auctions で探しまくり、15,800円でメルコの新品を二つゲット。メディアコンバータは、メルコが安い。メルコのネットワーク機器には少々嫌な思い出があるのだけれど、この際、動きさいすればブランドにはこだわらないことにする。どう見ても、どっかのOEM品ぽいし。

問題は、光ファイバケーブルだ。50メートルほど必要なのだが、さすがにこんなものはオークションには滅多に出てこないし、あったとしても、耐候性の問題からあまりチープなものでは頂けない。仕方がないので、ネットワーク機材を扱っている業者の値段を調べると、1メートル単価1,000円みたいな値段が出てくるから、これだけで予算オーバになってしまう。しかも、屋外用の丈夫なものは、62.5μの光ファイバが4芯しか入っていないのに、仕上げ外径は10mm以上あり、太すぎて使えないことが判明。3D2Vがやっと通る隙間を使っているからだ。さらに調べたところ、国内某メーカ製で、屋内用とされていながら、屋外でも使えそうなぐらい派手に保護の入ったケーブルがあった。外皮の耐候性はいまいちだろうが、何年間かは使えそうな感じだ。

とあるコネで注文し、50メートル両端SCコネクタ付き 23,100円。まあこんなものだろう。



麦飯
2002年10月2日(水曜日) はれ

最近、ご飯に麦を入れて炊くようになった。ことの発端は、刑務所だ。わたしは入った経験がないので詳しくは知らないけれど、いまでも刑務所では米を70%、麦を30%の割合で混合したご飯が出てくるという。これが、いわゆる「クサイメシ」のことなんだろうか、その辺の専門用語についても良く分からないが、麦飯は、どんなものなのだろうかと興味があった。麦は、いつも行く近所のスーパーで売られていた。精白された大麦を圧延した押麦というやつで、裏の能書きから見て、明らかにご飯に混ぜて食べる用途が想定されている。麦飯を食べている一般家庭がそう多くあるとは思えないし、米のように、ポピュラに出回っている穀物でもない思っていたので、スーパーで簡単に入手できたのはちょっと意外だった。

炊き方は、いつもどおり洗米してから麦を足すだけ。麦が増えた分、水も増やさないといけないが、米ほど多くの水はいらないようだ。初めは、どんなものになるのかちょっと恐かったので、米に麦を少しだけ混ぜて炊いたのだが、あまり違和感は感じなかったので、現在は刑務所と同じ割合にして炊いている。炊きあがった麦には、米にあるような、ねっちょりとした粘度があまりなく、米と比べればやや硬いが、代わりにこしが非常に強い。このためか、麦が多くなるとご飯は全体的に硬めになった感じになるが、わたしは元々少し硬めに炊くのが好きなので、むしろこんな感じの方が好みに合っている。粘度が減ってしまうため、ややパラパラとした感じにはなるが、麦飯は食感がかなりしっかりとしているので、白米100%のご飯がどこか頼りなく感じられるほどだ。

スーパーで売られている押麦には、1kg入りの袋か、小袋に小分けされた健康食品風のヤツしかないので、米と同じように、10kg単位で買えば安くなるかも知れない――そう思って通販サイトを調べてみたのだが、大量販売を行っているところは意外と少なく、しかも値段はあまり安くない。少しぐらいは安くても、送料を含めると逆に高くなってしまうので、通販はあきらめた。検索して出てくる通販サイトの傾向を見ていると、どうも押麦は、健康食品とか自然食といったジャンルの商品になってしまうらしい。高価イコール効果的、なんて信仰のある世界だから、あまり安くすると、かえって売れなくなるのかも知れない。わたしは健康を求めているわけではないので、普通のものでいいのだけれど。結局、スーパーで買っている 288円の1kg袋が最も安いようだ。



廃線
2002年10月1日(火曜日) あめ→台風21号

鉄道には、役目を終えたり(多数)、線形改良が行われたり(中央本線など)、付け替えられたり(飯田線など)して廃線になった区間がたくさんあるけれど、道路で廃止されて残骸が残っているような場所はあまり聞いたことがない。新しいトンネルの開通によって峠を越える道路が打ち捨てられたり、ダム建設で付け替えられた道路が水没してなくなるような例もあるにはあるが、大抵の道路は改良などでルートが変わっても、旧道は旧道として残るのが普通だ。その気になって探せば、道路の廃線跡も各地に存在しているのかも知れないけれど、少なくとも、廃止される前日に行って通行する車両の写真を撮ったり、車が記念ヘッドマークを付けて走ったり、わざわざ廃線跡を訪れてみたり、専門のガイドブックや写真集が出版されたりするほどの存在ではない。

意外なことに、高速道路の「廃線跡」も存在する。廃止された高速道路なんてあったっけ? って感じだけれど、“廃”高速道路跡めぐりというページによると、名神高速の関ヶ原あたりで線形改良が行われ、昭和53年に名神のルートが変ったのという。旧ルートがあった場所は現在、一般道になっていたり空き地になっていたりするが、カルバートボックスなどの跡が残っているという。このあたりはいまでも決して走りやすい区間ではないが、付け替えられる前には、なんと R=260mで L字に曲がっていたというから、高速道路としてはとんでもない急カーブだ(普通は R=400mぐらいでいいところ?)。実際に走ると、名阪国道風のいやらしさだったのだろうか。当然の帰結として事故多発、線形が大幅に改良されたというのも頷ける。

ネタ元は、Old Map Room



突撃実験室