多事毒論(2003年11月分)


@FreeD にしてやるんだから!
2003年11月28日(金曜日) くもり

DDI Pocket が「AirH"」っていうサービスが発表したとき、アルファベットの 'H' に濁点のようなものを無理やりくっつけて「エッジ」と読ませるセンスにはかなりビックリしたけれど、HTMLをテキストエディタで書いている人間ならば間違いなく、そんなことよりこの時代、とりわけインターネットと深い関係のある新サービスのネーミングを考えるときには、サービス案内のウェブページを作っている担当者のことも少しぐらい考えてくれ、と言いたくなるところのだろう。なぜなら、「AirH"」において濁点として使われている引用符 '"' は、HTMLでは " と記述する必要があるので、「AirH"」という名称が出てくるたびに、いちいち AirH" という呪文のようなものを書かなければならず、たいへん面倒くさいからである。

少し前に、AirH" とブロードバンドな固定回線の併用で AirH" の基本料金が割り引きになる「A&B割」なんてサービスが発表されたときには、「マジで恨むぞ」と思った。AirH" と Broadband で「A&B割」というのは、なるほど言い当て妙なネーミングであることは認めるが、アンパサンド '&' は、HTMLでは & と記述しなければならないので、これまた同様にたいへん面倒くさいのである。「AirH" の A&B割 について」なんて文を書いた日には、最悪である。これは、HTMLでは「AirH" の A&B割 について」と記述されるわけだから、あとから読み直していると、もう面倒くさいを通り越して、さながら暗号文と格闘しているかような気分になってくる。こうも鬱陶しいと、ウチは記述が簡単なドコモの @FreeD 路線で行ってやるもんね! と、思わず言いたくなってしまう。

とにかく、ネット関係の商品名には、HTMLで書きにくかったり、多くの処理系でエスケープが必要な文字は使っちゃいけないのである。あまりにウザければ、製品を使ってみたところの感想をHTMLに書いて公開する人の心証が悪くなるのは間違いない。間違いないのである。そんなのお前だけだって意見は認めないのである、俺様の手間が増えたってだけで十分に罪深いんだから。



天秤
2003年11月22日(土曜日) はれ

得たものも多いが、失ったものも決して少なくはない語られるのは、どんなときだろう。少なくとも、生じた損失は、好ましい結果を得るための必要経費だったから仕方がないと割り切っているわけではあるまい。むしろ、取り返しのつかない重大な闕失を、結果として得られた別の何かを不本意ながら肯定的に捉えることにより、無理にでも埋め合わせようとしているような、隔靴掻痒の感を語るときであろう。もしそれが、自身による選択の結果であったなら、それがいかなるものであったとしても、いつまでも後悔していて何になると切って捨てることもできるかもしれない。しかし、当人には何ら責任のない原因で、本来はあり得たはずの何かが一方的に奪われたのであった場合はどうだろう。選択の余地もなく、期待していたことが外的な要因で変えられてしまった場合は。

失ったのと奪われたのでは、結果こそ同じでも後味はまったく異なるだろう。なぜ奪われなければならなかったのか。奪われていなければ、何がどう違っていただろうか。いったん確定した結果は、いくら振り返ったとて覆しようがないと分かってはいても、不条理な結末は何度でも考えたくなってしまうものだ。失ったものと得たもの、それらの価値の大小を、第三者が客観的に見比べることは容易い。失ったものはもう仕方がない、プラスの部分だけを見て前向きになれ、などというのも簡単である。だが、こうした月並みな指摘は、当人にとって何らかの励ましにはなるだろうか。いや、当人もそんなことは、他人に言われるまでもなく分かっているはずである。こんな正論すぎる正論に、他人に言われるまで気付かない馬鹿などそういるものではない。

ただ、いくらプラスの部分が大きくても、奪われたという事態の重大さと、奪われたがゆえの喪失感の深さには叶わないのではないか。そしていくらプラスの部分に目を向けようとしても、繰り返される自問自答が邪魔をしているのではないか。だから、こんな心情に対する配慮がない限り、不本意であっても結果として得たものがあるのだからそれを前向きに捉えよなどというのは、無責任な結果論に過ぎない気がするのである。きっと、失ったものと得たものは、天秤にかけて損得の重さを比べ、客観的な価値を決めてどうのこうのと結論すべきものではないのだ。あるいは、一方でもう一方の埋め合わせができる、中和剤のようなものでもないのだろう。それぞれについて、当人が納得できる答えを得て、初めて心の蟠りがとけるのではないかと思う。



ゆずのくず
2003年11月17日(月曜日) はれ

八王子の日。多摩丘陵の紅葉でも見られたら嬉しいなって思って,尾根緑道に突っ込んでみたのだけれど,ちょっと時期が遅すぎたようで,もう枯れ木ばかりになっていた。快晴の寒空の下,木枯らしに吹かれて渦を巻きながら舞い上がる落ち葉を眺めているのも,それはそれで風流だけど。

朽ちかけ気味の柚子が冷蔵庫に転がっていたので,風呂に入れてみることにした。普通は香りのいい皮の部分だけを使うものだと思うが,果汁も果肉も入れた柚子風呂も悪くはなさそうだと思い,レモンみたいに丸ごと輪切りにした柚子を風呂に放り込んだ。さらにそれを湯の中で揉みほぐして果汁を絞り出せば,正真正銘の柚子風呂のできあがり。柚子の香りに包まれながら,ゆっくりと浸かれる,さほど熱くはない湯に身体を預けて束の間の快楽に身を委ねていると・・・。ありゃりゃ? 数分後,まず最初にセガレの付近がヒリヒリとしてきたかと思うと,そのうち全身がヒリヒリとしてきたではないか。かなり希釈されているとはいえ,柚子の果汁に浸かるのは良くなかったのだろうか。

どっちにしろ,果汁果肉入りの柚子風呂はかなりペケだ。果汁を入れても香りの増強には大して貢献しないどころか,柚子の果肉の混じった湯を頭からかぶると,髪の毛が粒だらけになってしまって後処理も大変だった。柚子風呂をやる人は,丸ごと浮かべるか,せいぜい皮だけにしておいた方がいいかと。



CCCD
2003年11月16日(日曜日) はれ

いわゆる CCCD(Copy Control CD)に入っている曲を mp3 に落としたくなって、Google 先生に教えてもらったとおり Exact Audio Copy というソフトでリッピングしてみたら、いとも簡単にできてしまった。どこが Copy Control なのよって感じだが、別に驚くに値することではないのだろう。少し壊してあるだけで、再生できるCDもどきには違いがないんだから、読めて当たり前といえば当たり前だし、何らかのコピー対策が使われるようになれば、間もなくそれを回避する方法やツールが出てくるのも、コピー対策の施された5インチFD用のバックアップツールなんてものがあった時代からごくありふれた話だ。いまになって、わざわざ調べてやる程度の知識しかないわたしですらちょちょいのちょいできるのだから、きっと多くの人が同じようにやっているのだろう。

CCCDが良いとか悪いとかの議論以前に、違法な配布を行う目的でCDのリッピングをやる人がいるのは事実だからCCCDを使いたくなるレコード会社の気持ちも分かるけれど、こんな程度のもので違法な配布の防止という目的は果たされているんだろうか。まあ、やる人はどうせ何をやってもやる。わけもわからず mp3 をぶち撒いている小僧どもの封じ込め策ぐらいにはなるだろうと思ってのことかもしれないが、むしろそういう人ほど、CCCD回避策の知識には長けていそうだから、それも虚しい期待だろう。小手先の対策なんか結局のところ紳士協定でしかなく、最後は良心の問題、という本質が変わらない以上は、絶対の付く技術的な対策をやるか、洗脳的な道徳教育でも施さない限り、違法は配布はなくならないのでは。

それよりも、好みの曲を寄せ集めたCD-Rを作るとか、PCで仕事をしながら音楽を聴くときに、データの形になった音楽がハードディスクに入っていた方が使いやすいとか、自己使用目的でCDをリッピングする人も多いだろう。わたしも、こうした便利な使い方からもはや逃れられない身体になってしまっているので、CCCDがいい加減だったことには大助かりだ。



トラブル
2003年11月15日(土曜日) くもり/雨

なんだか胃がキリキリとする一週間。先週末から、当方で管理しているネットワークの最上位にあるルータの調子が突然悪くなり、どういうわけか、ときどきハングアップするという困った現象が現れるようになってしまった。色々な対処療法を試みるが、どうやっても治らないので、あきらめてルータを取り替えることにする。商社を煽りまくって新ルータの納期は3日になったが、問題はそれまでの間をどう凌ぐか。そういえば、なんかの試作で使ったフォトトライアックの余りがあったっけ。まあ、このあたりは電気屋の強みだ。電源ケーブルの中間にフォトトライアックを入れて、監視で断を検出したら電源を切ってコールドスタートをかけるという、やや乱暴ながら確実なものを大急ぎで作り、取り敢えずそれで動かしておくことにする。

金曜日に新しいルータが入ってきてから設定をやって、ぶっつけ本番で取り替え。細かい問題があった以外は上手くいったが、なるべくトラブルを避ける観点から不要不急のところを後回しにした関係で、たとえばIPv6のトンネルが現在不通。そんなわけで、IPv6サイト(http://www.v6.exp.org/)が運休中だけど、そのうち復活する予定です。申し訳ないです。



香港
2003年11月10日(月曜日) 雨

来年の1月に、3泊4日で香港へ行くことにした。といっても、貧乏だから内容は例によって切り詰めまくりのケチケチ旅行だ。航空券は、多数の海外出張で使い切れないほどのマイルが溜まっている親から奪い取ったタダ券だし、宿泊もどうせ現地で見付けたオンボロホテルになるだろうから、多少ゴージャスなものを食ったとしても大したコストにはならないはずである。それに、中国語を話すガイド(弟なんだけど)が同行してくれることになったので、いわゆる観光客向け価格に翻弄されなくても済むばかりか、値引き交渉なんかも比較的スムーズに行きそうだ。気がかりなのが、SARS。1月といえば、SARSが再び流行っても不思議ではない季節なので、情勢によっては行けなくなるかも知れないが、そうならないよう日頃の行いに気を付けようっと。

昨日は所用あって久々に渋谷へ行ってきた。あんなところ、異様なまでの人混みが鬱陶しいだけで、わたしの趣味に合う街ではないから滅多に行くことはないのだが、好みのタイプのお姉さんとすれ違ったときに、一瞬だけ一人で嬉しくなる根暗な楽しみもないわけではないから、まあいいだろう。ところで、この時期にお姉さん観察をしていると、どうして11月ごろになると、別に寒い日でなくてもコートにマフラーなんていう大袈裟な服装が目立ち出すのか、毎年不思議になるのだ。何を着るかは個人の自由だけれど、素朴な疑問として、この気温でその格好は暑苦しいだけじゃないのかと思ってしまうのだ。屋外ならまだ耐えらるとしても、どこでも適度な室温が保たれている屋内でコートなんか着ていたら、途端に背中に汗が滲んでくるに違いない。

ある女性に聞いてみると、「何となくああいうのを着てみたいだけなのよ、女は」という答えが返ってきた。要するに、暑くなったときに手に持って歩くのも邪魔くさい、だったら、多少の寒さは我慢して、初めから着なければいいんだ――という理論で11月の終わりぐらいまでは基本的にコートを着ないわたしとは異なり、あれは気持ちの問題なのだそうだ。しかし、なぜにコートやマフラーを着用したくなるのか、そのの肝心な部分を探るのを忘れてしまったなあ。えー、専門用語でいうとフェチシズムですかね。



工場長
2003年11月5日(水曜日) 曇り/雨

どこかの工場で何らかの事故が起きたあとに行われるお詫びの記者会見では、工場長といった立場の方々が頭を下げる光景をよく見かける。しかし、頭を下げている工場長当人らからすれば、工場長というのは何か厄介なことが起きると直接の責任があるわけでもないのに、公衆の面前に差し出され、袋だたきにされた挙げ句、下手をすれば業務上過失致死みたいな罪名で被告人デビューすることにもなり得る、可愛そうな羊ってところなのかも知れない。ブリヂストンや出光など、工場における事故がなぜか連続するこの頃、次はうちかも知れないと、全国の危険物を扱う工場の工場長さんは気が気でなかったりして。

めでたく、なのかどうかは分からないけれど、最近「工場長」なんていうポストに収まったうちのオヤジいわく、携帯電話の着信音ほど心臓に悪いものはないそうだ。もし本当にテレビに登場したら、名字が名字だけに他人のふりはできないよなぁ・・。



日本製?
2003年11月1日(土曜日) 雨/曇り

障害対応で会社にいたり・・。どうして休みの日に限って何か起きるのかなあ。

お土産にと思って、台湾で Option という車雑誌を買ってきた。日本で出ている Option 誌の正式な台湾バージョンなのかどうかはよく分からないけれど、構成はだいたい似たような感じである。記事のの内容は、チューン系の車雑誌としては並ってところだと思うが、興味深かったのがサスやら電装品といったアフターマーケット部品などの広告で、これでもかってぐらい「日本製」が強調されているのだ。日本製である証拠として、日本から輸出されたことを示す伝票の写しを、それもページのど真ん中にでかでかと掲載している広告まである。日本に住んでいると、そこまで気合いを入れて宣伝することかよ? って思ってしまうのだが、台湾の車好きにとっては、日本製っていうだけで高品質な感じがするみたいだ。

逆に、日本において高品質な感じのする台湾製の工業製品といえば、自転車かな。台湾製の方が、同じ値段の国産品よりもワンランク上のものが買えると、台湾製を勧めるショップもあるぐらいだ。実際、知っている人は知っていると思うけれど、有名メーカのほとんどが、中級からやや高級品ぐらいまでラインアップの生産を台湾のメーカに委託している。自社で作るとすればハイエンドなフレームだけで、品質は二の次の安いやつは中国で作る、というのが自転車業界のトレンドだろう。国産メーカのママチャリの高級なヤツとか、そこそこの値段のする欧米ブランドのマウンテンバイクの完成車でも、台湾製のフレームにシマノのフルセットっていうのがほとんどじゃないかな。



突撃実験室