多事毒論(2004年1月分)


CPUのソケットは必要?
2004年1月29日(木曜日) はれ

Mobile Athlon XP-1400+ がオンボードのマザーが登場!」だそうで。恐らく,このマザーボードは「ヘンなもの」という扱いを受けているのだろうけれど,CPUもオンボードでいいじゃないか,という発想自体は正しい気がする。だって,いまどきマザーボードはそのままで,CPUだけを新しくすることがそうそうあるだろうか。一昔前なら,486DX-33MHz を 5x86 に交換したらまだまだ使えるぞー,ということもあったけれど,いまの時代,たとえば 1.8GHz を 2.4GHz に交換してみたところで,たいして変わるわけではない。ベンチマーク追求系の人ならいざ知らず,普通の人が交換の必要を感じるころには,CPUとともにチップセットなども世代交代していて,マザーボードごと取り替えるケースがほとんどじゃないかと思う。

新品のときにCPUを差し込んだら捨てるときまで抜くことはない,と割り切って考えれば,CPUのソケットはかなり無駄な装備だと言える。半田付け,すなわちオンボードでもいいんじゃないかと考えられるし,それはやりすぎだとしても,頻繁な抜き差しを前提としたZIFソケットになっている必要はなく,普通の丸ピンソケットでも十分にことは足りるだろう(でも強度的に厳しいのかな?)。というのも,ZIFソケットはかなり高いからだ。マザーボードで使われているものは,量産効果+台湾パワーで驚くような値段なのだろうけれど,もっとも高価な部品の一つであることには違いない。そんな無駄があるぐらいなら,ソケットをケチった分+α程度で,そこそこまともなCPUを載せておいてくれた方がよほどありがたい。どうしても自分でCPUを選びたい人だけ,高級品であるZIF付きマザーを買えばよろしいのだ。

資料が手元にないのだが,PC/AT互換機のマザーボードの設計指針では,拡張性を重視するためにCPUは交換が容易な構造にすべき,とされていたような気がする。これに基づき,ほぼすべてのマザーボードがZIFソケットを使っているのだと思う。拡張性重視の設計は確かに互換機のよいところだが,それが有効に機能していたのはISAバスがあったころまでと思うのはわたしだけだろうか。技術の世代交代サイクルがこうも速いと,拡張を考えるころには,ゴミになっていることの方が多くなる。昔は,ビデオカードだけを最新に交換するということをよくやったが,いまだと,バスがAGPに変わったために,PCIバスしか持たないマザーではそれが不可能,みたいなことがわりとよく起きる。拡張性に優れるというのは理想的だけれど,一年先を予測することすら難しい時代の拡張性は得てして儚い。

それゆえか,最近のマザーボードは,必要なものは一通りオンボードで搭載しているものが非常に多くなってきた。いまでは信じがたいが,AT規格時代初期にオンボードで付いていたものといえば「キーボード」のコネクタぐらいだったと思う。そのうち,IDEやFDDインタフェースのほか,シリアルやパラレルといった標準的なI/Oが付くようになり(昔は付いてないマザーも多かった),それからもPS/2マウスポートが,サウンドが,Ethernetが,USBが,1394が,といった具合でどんどん増えていって,いまや追加で必要なのはビデオだけっていうマザーボードも少なくない。これは,オンボードであっても,そこそこリーズナブルなものが載っていればマザーボードを捨てるときまで十分に使い続けられると考えるユーザが多いことの証左だろう。その流れで,CPUオンボードもアリだと思うのだが。



アニソン
2004年1月27日(火曜日) はれ

アニメソング略して「アニソン」というジャンルに危機が訪れたのはいつなんだろうと,ふと考えてみた。一昔前までのアニソンといえば,佐々木功や水木一郎,最近では影山ヒロノブといったその道の専門家が歌っていて,その歌詞も,登場する人物の志の偉大さを称えつつ,心の隅に抱えるコンフリクトを表現するものであったり,戦いにエールを送るものであったり,ロボットの仕様(?) を説明するといった感じのものが多かった。さらに強烈なやつになると,必殺技の名称を連呼したり,いきなり同主調に転調してなぜか児童合唱団のご登場,といった具合に進行する曲もあったりしたが(まあ,これはいかにも昭和って感じでさすがに古くさいけど),いまやそんなアニソンはまずあり得ない。

現代では代わりに,一部の例外を除いて,ヒットチャートに出てくるようなごく普通のアーティストが歌う,ごく普通の曲が,アニメの主題歌として使われることが当たり前になってきた。歌詞の内容もアニメ本編の内容とはまったく無関係だから,なぜこれが主題歌に選ばれたのだ? と首をかしげたくなる。一応,アニメの主題歌として使われているという意味では,こうした曲もアニソンであると言えるのかも知れないが,実際問題,ヒットアーティストのよく知られた曲を「アニソン」というジャンルに入れてしまうことには抵抗があるだろう。すなわち,「アニソン」と「一般曲」の境界線がたいへん曖昧になっているということであり,曖昧なアニメ主題歌をアニソンとして認めないのであれば,アニソンというジャンルは懐メロ専門ジャンルになるんじゃないの,と感じたりするのだ。

すべてのアニメ主題歌がそうだというわけではないが,この傾向が強くなったのは,アニメの主題歌がプロモーション代わりになり,テレビで流れるとそのCDが売れるから,という商業的な理由からなんだろうか。「名探偵コナン」の主題歌なんか,選曲の趣味に一定の偏向がある感じはするけれど,かなりそういう意図を感じたりする。逆に,どちらかといえば低年齢層向けのアニメとかオタク限定的なアニメで,アニソンらしいちゃんと曲が作られていたりするのは,そんなところで流してもプロモーションにはならない,という判断もあるのかも知れない。例として,「ポケットモンスター」の主題歌は「ポケモンゲットだぜー」という叫びから始まり,続く歌詞もアニソンとして相応しい。もっとも,劇場版で小林幸子を起用したのには,むしろお父さんお母さんの心をくすぐることでサントラを買わせる,という商業的意図があったんじゃないかと勘ぐりたくなるが・・。

そういえば,主題歌を有名アーティストが歌っていても,アニメ本編との関係を十分に考慮して書き下ろされた思われる曲もあった。ちょっと古いけれど,「魔法騎士レイアース」のオープニングに使われた,田村直美の「光と影を抱きしめたまま」では,歌詞に「光」「海」「風」という,主人公らの名前がさりげなく入っていたし,本編の雰囲気ともよく合っていたから,あれはよかった。そうとは知らずにCDを買ったある田村直美ファンは,なんだこりゃと驚いたらしいけれど(シングルのジャケットがレイアースだったからなあ)。



ちくわぶ
2004年1月26日(月曜日) はれ

横浜に来てからもう何年も経っているので,大阪生まれのわたしも最近は関東特有の文化でいちいち驚くようなことはなくなっていたのだが,先日は久々に強烈なカルチャーショックを味わった。それは「ちくわぶ」というもの。関東では,おでんとか鍋といったものに,ごく普通に入っているというのだが,「ちくわぶ」なんかいままで見たことも聞いたこともない。初めて聞いたときには,「それって,ちくわと違うの?」と思わず聞いてしまったほどだけれど,確かにスーパーへ行くと,探すまでもなく「ちくわぶ」ってものが置いてある。なるほど・・・。改めて見れば,そんなものも並んでいたような気がするのだが,買おうと思ったことがないので,これまで何度も目の前にしながら存在に気づかなかったらしい。

「ちくわぶ」を知らないのは,関西圏では滅多に食されないためだろうと思って調べてみると,やはり,非東京圏の人たちにとって「ちくわぶ」は不思議な存在らしい。ちくわぶ問題を専門に研究する「ちくわぶ倶楽部」なるサイトまであったりするし,Google 先生に「ちくわぶ 関西」とか尋ねてみると,同じような疑問を抱いた人がたくさんいることがよく分かる。関西でも,もしかしたら,京都とか,金沢(麩料理ってのがありますよね)あたりには似たようなものがあるのかな?

ちなみに,初めて食べた「ちくわぶ」の感想は・・・「うどんの塊?」でした。ほんとにそういう味だし。



RT57i
2004年1月25日(日曜日) はれ/くもり

あれやこれやと悩んだ末に,結局,Yamaha の RT57i を購入した。36,800円という価格は,いまどきのルータ相場からするとかなり高価な部類であるが,ISDNにも繋がって,なおかつIPv6もしゃべるヤツとなるとそんなものなのかなということで,値段は納得することにした。わたしはヨドバシで購入したが,こういう量販店でも RT57i は売れているんだろうか。ISDNを使っている家庭なんか逓減の一方であろうし,インテルのIXPなどゴージャスなネットワークプロセッサを載っけたりして,ワイヤスピードを歌っているようなルータと比べると,どうしても見劣りする。小規模事務所用としては良い製品だと思うが,値段が値段だし,家庭用としてはそうそう売れるものじゃないだろう。

いまはとりあえず繋いだだけなので,まだどうのこうのと善し悪しを判断できる段階にはないが,GUIインタフェースに関しては,昔と比べてかなり使いやすくなっているな,というのが第一印象。個人的には,それよりも Telnet で設定できるというのがありがたい。基本的な設定をやるだけならGUIの方が楽でいいが,フィルタとか静的経路をごちゃごちゃといじるようなときに,ブラウザの画面に細かい数字を打ち込むという作業はかなり苦痛に感じる。こういうのは,コマンドでやった方がよほど効率がいいし,間違いがない。ほかのメーカのルータは知らないけれど,Telnet で設定できるとは書いていないところを見ると,GUIでしか設定できないのかなあ。



続・ルータが欲しいのだが
2004年1月24日(土曜日) くもり

マトモなルータはないのか,と書いてからもいろいろ調べてみたけれど,やっぱりこれだと思える機種には巡り会えていない。選定にあたって,大変助かっているのは,最近はどのメーカのサイトでも取扱説明書が公開されていることである。かいつまんだことしか書いていない「仕様一覧表」なんかを見たところで,そいつがマトモに使えるかどうかなど分かりはしないが,取扱説明書には,何ができて,何ができないのかが,具体的に書いてある。あらかじめ取扱説明書を読んで絶望しておけば,少なくとも買ったあとに「カネ返せ」と言いたくなる事態は避けられるので,いいことである。

当たり前ではあるが,ルータは,ハードウェアの出来もさることながら,それと一体であるソフトウェアの善し悪しで最終的な性能が決まってくる。しかも,ルータのソフトウェアは,通常はメーカが提供するものを使う以外にないので,この点で,任意のソフトを動作させられる普通のコンピュータとは違い,ユーザに与えられる自由度は著しく制限されている。そして,この制限が認められるのは,基本的には一種類しかないソフトウェアで,あらゆるニーズに対応できる場合のみであろう。もちろんそれは理想だが,「マトモなルータ」とは,どれだけマイナーなことでも,考えられる設定はおおよそすべて可能なファームウェアが搭載されているもの,と定義してもいいと思う。

実際,業務用ルータでは,設定の自由度になるべく制限を設けないという思想で設計されていると思われるものが多い。民生品にそれを要求するのは酷だと言われるかもしれないが,むしろ民生品こそ,これを見習うべきだろう。なぜなら,一般家庭で求められる機能の多さや汎用性は,どちらかといえば単なる中継装置として使われる業務用ルータよりも遙かに幅広いからである。たとえば,フレッツの利用だけを考えてみても,複数のISPに加入していて,フレッツスクエアにも接続し,フレッツ・グループアクセスも使う,というような利用形態もさほど特殊だとは言えない。そんなときに,何かの設定件数に上限があってすべてを設定しきれなかったり,経路の設定方法に難があったりして,あっちが立てばこっちが立たず状態では困るわけだ。

ソフトウェアの善し悪しという面から考えると,何千円で買えるローエンド機種と,何万円クラスのハイエンド機種との違いはいったい何なんだろうと思う。ローエンド機種でも,基本機能がしっかりとしていれば,普通にインターネットに繋ぐだけなら十分に使える。では,何万円のハイエンドクラスになったら,実際のところ何が変わるのだろう。ゴージャスなハードウェアを使っているから非常に速いというのは分かるが,ソフトウェアも値段と比例してゴージャスになるかというと,それは疑問だ。多少の機能拡張はあるかも知れないが,高いヤツになればなるほど,色んな設定で自由が利くようになるというわけではない。スループットを求める場合は高いヤツを買えばいいが,機能を求める場合は,そうではないのである。

では何を買えばいいのかというと,「設計は業務用寄りだけれど家庭用の機能も搭載しているルータ」だが,こうしたものが世の中に存在するのかというと,わたしの知る限り皆無に等しい。Yamaha の RT57i がそれに近いのでまったくないわけではないが,本当に限られる。このクラスのルータを求める市場は,そんなに小さいのだろうか。家で使うという人は少ないかも知れないが,中小企業の小規模な事務所なんかで,何万円かで買えるちょっとまともなルータを入れたいな,という需要はそれなりにあると思うのだが。その企業自体は求めていなくても,多様な要望を裁かなければならないシステム屋さんが入れたがるというか。



ルータが欲しいのだが
2004年1月21日(水曜日) くもり/雨

Bフレッツの接続に使えるルータが欲しいのだが,要求する仕様を満たしている製品がなかなかなくて困っている。IPv6 もしゃべるヤツとなるとなおさら限られてしまい,民生品では Yamaha とアライドテレシスしか知らない。IPv6 の実装を待望しているユーザなど,そう多くいるとは考えられないので致し方のないことだとは思うが,騒がれているわりに,ルータの対応状況などこんなものである。Yamaha の RT57i は面白い機種だと思う。電話がISDNなので,個人的にはISDNが入るというのがいいし,昔から使っているので,慣れているという安心感もあってよいのだが,実売36,000円強という価格がネックで,悩むところ。アライドもわりと古くからルータを作っているメーカの一つだが,使ったことがないので何とも言えない。

IPv4 だけでいいと割り切っても,よいと思えるものは少ない。次に検討したのは,比較的ハイエンドな部類に属すると思われる,Linksys の WRV54G-JP というヤツだが,こいつは細かい部分で致命的な欠点があった。一見,機能的な不足はないように思えるし,価格も無線LANが付いて実売 24,000円程度と,まあまあ。ところが少し詳しく調べると,驚くことにこいつは IP unnumbered な PPPoE 接続ができず,いわゆるLAN型接続(IPアドレスが8個とか16個といった単位で払い出される接続形態)ができないのである。PPPoE が 1セッションしか張れないというのも気に入らない。このぐらいのグレードになれば小規模な事務所でも利用されるであろうから,LAN型接続など,さほど特殊な要求だとは考えられないのだが。unnumbered 未対応は,ルータの基本機能という意味において論外なので,候補から外れる。

同じく無線LANが付いていて,比較的ハイエンドなものとなると,NTT-ME の MN8300W や,NEC の Aterm WR7600H あたりが候補として上がってくる。無線LANはなくてもいいので,これを外せばもうちょっと選択肢はあると思うのだが・・。悩むところだ。ちなみに,高機能を求めるのであれば,あるいはオナニーに走るのであれば業務用ルータを使えばよいのではないかという考え方もあろうが,ルータの場合,業務用だから良いというものでもない。たとえば uPnP のように,民生品ならどんなローエンドモデルでも実装されているようなものが,業務用ルータにはなかったりするからだ。それに値段も高いし,19インチも幅があるとかなり邪魔だし,なにしろやかましい。勤め先にあるL3スイッチが発する騒音を何かに喩えると――「高速道路のトンネルで排気ファンの真下を通ったときの音」がいちばん近い気がする。



MSblast
2004年1月18日(日曜日) はれ

「WindowsXP を動かしているパソコンが MSblast に感染したっぽいので,なんとかして欲しい」という電話が弟からかかってきた。曰く,Windows を起動すると妙なタイマが動作し始めて,60秒で再起動させられるようになってしまったという。MSblast に感染すると,タイマで再起動させられるようになると聞いたことがあるから,確かに感染が疑われるが,対処しようにも60秒で勝手に再起動されるからお手上げ,というわけで,そのPCが送られてきた。手元に届いた実機を起動してみると,確かに再起動のタイマが始まってしまい,どうすることもできない。そこでSAFEモードで立ち上げ,各種情報を参考に,レジストリなどを調べてみたのだが――あれ?

どういうわけか,MSblast あるいはその亜種に感染していればあるはずのレジストリ項目が存在しないのだ。試しに,Symantec から無料でダウンロードできる MSblast 駆除ソフトでスキャンさせてみても,感染していませんと言われてしまい,わけが分からない。悩んだ末に,これはそもそも感染していない,という結論に至ったのは,「なぜWindowsが再起動させられるのか?――『Blaster』ワームの謎を解く」という,ITPro の記事を読んでからであった。これで初めて知ったのだけれど,再起動タイマは,MSblast 自体がやっているのではなく,攻撃されておかしくなった RPCサービスによるものだったのだ。つまり,攻撃されたが感染はしなかったというケースもあり得るので,Windows が再起動するからといって,必ずしも感染している証拠にはならないわけである。

そんなわけで,Microsoft のサイトからダウンロードしたRPCサービスの修正プログラムをインストールしただけで,再起動タイマはぴたりと姿を消してくれた。念のため,さらに感染の有無を調べてみたのだけれど,その証拠は見つからなかったから,やはり攻撃されておかしくなっただけで,感染はしなかったようである。不思議なのは,なぜいままでこの脆弱性を放ってあったのに感染せず,いまごろになって騒いでいるかだが。聞けば,留学先の大学寮から帰国して,普通のISPに接続したときにおかしくなったらしい。恐らく大学ではファイヤウォールの内側で暮らしていたのだろうが,非武装地帯から踏み出した途端に撃沈されてしまったと。Windows Update ってナニソレ? ときたもんだから,当然といえば当然だけどね。

ちなみに,感染調査,脆弱性の修正,Windows Update サービスまでやってあげて,報酬はチョコレート一箱。とても悲しいです。



続・Bフレッツ
2004年1月16日(金曜日) 晴れ

職場のLANでインターネットに繋いでいるときの感じと比べると,なんだかやけに遅い,というのが自宅に入れたBフレッツの第一印象であった。比較対象である職場のLANも,さほど速いわけではない。ISPの事務所の特権として,恵まれた接続環境にあることは確かなのだが,社内LANは非力なファイヤウォールを介して外部と接続されているので,最大スループットは大して出ないのだ。これと比べれば,BフレッツがLANほど安定したアクセスラインでないことを差し引いたとしても,メディアコンバータをPCに直結し,遅いルータやファイヤウォールのようなものも使わず,インターネットとは生ハメ中出し状態で繋がっている自宅のPCの方が速くても良いんじゃないかと思ったわけである。

そこらの速度測定サイトで測定した結果や,FTPによるファイル転送で見る限りでは決して遅いわけではないので,なぜなんだろうかと考えみると,通信を開始してから実際にデータが流れ出すまでにある「間」が,自宅の方が顕著に長いことに気づいた。たとえば,どこかのリンクをクリックしたときに,職場のPCであればスッと出てくるところが,自宅だと,ワンテンポあってから出てくるような感じで,この微妙な間が,体感的にはモタついているように感じさせるみたいである。もちろん,あくまで職場のLANと比較したらそう感じるというだけであって,使用に耐えないほどのものではないから,このぐらいは普通なのかも知れないけれど。

考えてみると,Websiteのブラウジングといった普通の利用では,比較的小さなデータの転送が細切れに行われている場合がほとんどで,大きなデータの転送が連続的に行われることは多くない。してみると,スループットというものを,人間が通信の開始を命令してから実際にデータが流れ出すまでの時間も含めて計算するなら,特に小さなデータ転送では,そのタイムラグはスループット低下に非常に大きく寄与する。機械的に計測したスループットが1Mbps遅いか速いかなんていう議論もいいかも知れないが,±10パーセント程度の速度差を人間が体感することは難しかろう。それよりは,人間が実際に体感できるモタつきの方が,実質的な快適度には大きく寄与するはずである。

だから,こういう種類の遅さは非常に気になるのだけれど,原因はよくわからない。やっぱり地域IP網が遅いのかな?



Bフレッツ
2004年1月14日(水曜日) 晴れ

半年かかって,今日ようやくBフレッツニューファミリーが開通。やたらと時間がかかった要因として,自分がノンビリやっていた面もあるのだが,最大に寄与したのは,申し込んでから最初の調査に来るまでに半月,再調査でさらに半月,工事でまた半月なんて具合で待たせるNTTである。この辺がもう少し迅速になれば,NTTは対応が役所的でトロい,という評判も変わっていくと思うのだけれど。このほか,新たなケーブルを引き込むのが構造的に困難な賃貸マンションに,無理やり光ケーブルを引き込む形となったので,根回しだの現場調査だのでもそれなりの手間がかかった。管理会社の担当者さんも大家さんも協力的であったので,思っていたよりも簡単に済んだが。

ところで,工事にやってきた連中は最悪であった。まあ,「コミューチュア」だから仕方がないか。ここは,NTTの下請けでやっている施工業者であり,勤め先の回線工事で何度かその仕事ぶりを見ているので,事前の電話でこの名前を聞いた瞬間から丁寧な仕事は期待できないと思っていたが。案の定,仕事は全般的に荒っぽく,態度も悪い。客先工事中の喫煙という行為に,従業員教育の程度が現れている(屋外だったから咎めはしないが)。まあ,もともとはマンホールの中とか電柱の上とか,エチケットを要求されない場所で仕事をしていたような会社だろうから,客の家に行ったときには上品に振る舞うという概念が初めからないのかも知れない。引き込み前の事前調査に来てくれていた,非常に親切で丁寧なNTT-MEの方々とは対照的である。今後Bフレッツに加入する予定のある皆さん,工事がコミューチュアだったら監督を怠らないように。



成田空港の郵便局
2004年1月11日(日曜日) 晴れ

香港へ行く際に空港で,キーホルダにいつも付けている小さなナイフを持ってきてしまったことに気づいた。周知の通り,ナイフ類は機内には持ち込めないので前日に外しておくつもりだったのだが,うっかりしていたのだ。預託の荷物があれば,それに入れてしまえばよいのだが,わたしのように面倒くさがって機内持ち込みだけで済ませる人間は,その手が使えない。保安検査で申告すれば,ナイフなどの禁制品だけを預けることも可能だが,到着した空港で,そんなもの一つのために荷物が出てくるのを待つのはあまりに面倒だ。鞄の奥底に入れてこっそり持ち込もうとしても,どっこい,まず見つけられる。大量の小銭と抱き合わせてやったらパスできた,という実験報告もあるが,あのX線検査は甘くないというのが,空港ヘビーユーザ共通の見解じゃないかと思う。

そこで,家に送ってしまうことにした。封筒ぐらいそこらの売店で売っているし,郵便局ならターミナルビル内にある。車に置いてくるという手もあったが,少し離れた駐車場まで往復するのも面倒だったから,これがベストに思われた。早速,封筒を買って宛名を書き,切手を買うべく郵便局へ行くと――ふざけたことに閉まってやがんの。あれだけの空港なのだから早朝から深夜まで需要がありそうなのに,閉ざされたシャッタには,営業時間は9時から18時までだと書いてある。代わりに,売店やコンビニを回ってみたが,どこも切手は扱っていないという。飛行機の出発は0945,郵便局が開く時間まで待って待てなくはないが,出国手続き後,タバコを吸い溜めして便所へ行く時間を考慮すると際どい。

しょうがないので,料金は後払いにすることにして,切手を貼らずに投函する。切手なんか貼ってなくても,宛名さえ書いてあれば届けてくれる。帰国後,家に帰ると「郵便物お預かりのお知らせ」が入っていた。料金未納で預かっているから,再配達の連絡をしろというもの。数十円の不足ぐらいなら先に届けてくれる場合もあるみたいだが,さすがに未納ではそうも行かなかったのかも知れない。早速連絡して,問題の郵便物を受け取ったんだが。郵便局が開いていないのにはムカついたので,配達員に料金が未納である理由を説明し,文句をダラダラと言っておいた。空港なら早朝から利用者がいて当たり前だろう。売店やレストランはみんな朝からやってるじゃないか。窓口を閉めるのは仕方がないとしても,切手だけどっかの売店に売らせるとか,自販機を置くとかできないのか?

報告しておきます,とのこと。もし成田空港で切手が買いやすくなっていたら,わたしのせいです。



帰国
2004年1月10日(土曜日) 晴れ

香港から帰国。詳しくは別にまとめるとして,陸路で広州にも行ってきたんだけれど,香港よりも広州の方が面白かったかな。

心配していた1月5日の朝は,ちゃんと0530に起床し,朝飯を食ってから0620ごろに家を出て,0730には空港に到着。湾岸が混んでいない時間帯に車でぶっとばしていけば,みなとみらいの入口から空港まで1時間もかからないから,そんなぐらいで着ける。しかし,自宅を出たときはまだ真っ暗だったし,車の窓には氷が張ってるし,0945のフライトにはちょっと早すぎたかも知れない。早く着いても時間を潰せる施設があるのならいいが,成田空港は,なぜあれほど本格的に何もないのかな。ターミナルビルのロビーには色んなお店もあるけれど,酷いのは出国後だ。免税店を除くと,やる気のない売店がいくつかある程度だから,ほんとにすることがない。空港公団の民営化で,少し変わればよいのだが。

ところで,自宅と成田空港間のアクセスで悩む方も多いだろう。交通手段の選択肢は多いから,遠いのは事実だとしても不便ではないのだが,深夜早朝,荷物が多い,といった諸々の問題が加わっていくと,どうにかならんものかと思ってしまう。運賃面も含め,いちばん良いのは車だ。たとえば横浜駅と成田空港間のバスは往復で7,000円かかるが,車で行っても往復の高速代は5,900円(首都高湾岸1,300円+東関東道1,650円/いずれも片道)で,ETCの前納割引があれば実質5,074円でいける。これに駐車場料金が加わるが,空港周辺の民間駐車場に泊めれば,高くても1日1,000円ぐらいが相場。空港併設の駐車場でも1日1,500円だから,短期間なら一人でも大した負担ではないし,複数名で同乗していけばバスなんかで行くよりも遙かに安くなる。

今回かかった経費は,高速代に民間駐車場4日分の料金3,750円を加えて,8,824円+ガス代程度。自宅からバスの出ている横浜駅まで,歩いて行くにはちょっと遠いのでタクシーに乗ることを考えると,車もバスもさほど変わらないわけだ。



香港へ
2004年1月5日(月曜日) 晴れ/やや曇り

年末年始休暇も終わり,今日から仕事。で,明日からまた休暇ですとか言ったら怒られそうだけれど,明日から休んで3泊4日で香港に行ってまいりますです・・。PCは持って行かない予定なので,明日1月6日から1月9日ごろまでは,多事毒論の更新はお休みさせていただきます。

この時期に香港へ行くと言ったら,判で押したように「SARSは大丈夫なの?」と聞かれてしまうんだが,たとえどんなに大流行しようとも自分だけは感染しないはずだから,それに関してはまったく問題ないと確信している。なんたって,バカに生まれたおかげか,記憶にある限りでは,いままで風邪で仕事を休んだりしたことはないのだから(仮病を除く),SARSだって同じに違いないし,病は気からとも言うではないか。それに,ウイルスにも棲むところを選ぶ権利はあるはず。もし自分がウイルスだったら,わたしのような人間なんかには目をくれず,真っ先に若いお姉さんを射止めてやるね。女性の体内(胎内という文字の方が適当かも)に入ってみたいという欲望は,男なら少しぐらいはあると思うんだけれど,ウイルスが胎内帰還願望を持っているわけはないか・・。

脱線しすぎた。SARSなんかよりも心配しているのは朝の問題だ。香港へ行く場合は,午前発の便に乗ると昼過ぎに到着するので現着当日も時間を有効に使える,というわけで成田発0945のフライトにしたのはいいけれど,これに合わせて少し余裕を見て家を出るとすれば,0530起床。とにかく朝には弱いもので,寝過ごさないかどうか非常に心配なのだ。平時の朝はダメでも,旅行とか出張なら起きられる,という人もいるようだが,わたしにはこのような例外はない。このため,4時ぐらいに起きなければならないような日は,ガキのころ遠足の前夜に寝付けなくなるハイテンション状態を最大限に活用し,そもそも起きなければいいように夜通し寝ないでいることが多いのだが,0530となると微妙。そのぐらいの時間になると,直前に力尽きてしまう可能性が高くなる。

で,香港に着いたら,ななな,なんと,知る人ぞ知る大老舗「ペニンシュラホテル」に直行するのだ。知る必要もないから,詳しくは知らないが,1泊4万円は下るまい。すごいだろう。そこで現地ガイド兼通訳である弟と待ち合わせ,どこかほかの安いホテルに行くのだ。すごいだろ?(貧乏ってイヤだねえ・・)



国道158号線完走
2004年1月2日(金曜日) 概ね晴れ@R158

大阪から横浜へ帰るのに,国道1号にはそろそろ飽きてきた。道路としては比較的よく整備されているが,どうにも単調だし,交通量が多くて走りにくいのも芳しくない。そこで,より新鮮みのある帰り方はないものかと考えた末に,中部縦貫ルートというものを思いついた。具体的には,彦根→R8→福井→R158→白鳥/高山/松本→R19→塩尻→R20→相模湖→横浜という,大阪と横浜を結ぶ線上には,普通は現れるはずのない場所ばかりを経由するもので,恐らく,日本地図がなければ想像すらできないかも知れない。で,R158は山あり谷あり峠ありでR1なんかと比べれば遙かに楽しかったけれど,大変に疲れました・・・。正月早々なにやってんだかって感じ。

彦根からR8で敦賀を経由し,いかにも日本海らしい崖っぷちを通って福井まで。福井でR8からR158に分かれると,雪をかぶった山々の風景が見えてきて,ほんとにこの山の反対側にまで道が続いているのか,という気分にさせてくれる(すごいことに,続いているんだけどねえ)。それに,この日は道路上には雪はなかったが,除雪したあとの雪塊はあちこちに落ちているし,そこかしこがスノーシェルタで覆われているしで,初っぱなから自然環境の厳しさを実感させてくれる道だ。福井から1時間ほどで九頭竜湖に到着する。ダムがあって,発電所がある無粋な風景は好きなのだが,雪に覆われて謎の斜面と化したロックフィルダムを見たのは初めてだ。こんなものをササッと見学して,またしばらく走ると,福井岐阜県境の油坂峠に到着する。

油坂峠には,油坂峠道路という有料トンネルがあるけれど,ボヤッとしていて真っ直ぐ行くとカネを取られる世の常には騙されず,峠越えの現道へ。すなわち,国道ならぬ酷道の方へ回ったわけだ。未改良区間は狭くて見通しが悪いわりに対向車は来るわ,シャーベット状の雪が残っていて油坂の名に恥じず滑るわと,冬場にはあまり通りたくない道ではあったが,峠からの白鳥町の眺めは綺麗だったから良しとしよう(写真手前が現道,写真奥が油坂峠道路)。油坂峠の岐阜県側はやたらと急な崖になっていて,つづら折りだけでは足りず,最後はループ橋で一気に標高を稼いでいる。油坂峠道路の高架路と現道のループ橋が並んでいる姿は壮観だけど,地形が厳しいせいか,なんか土木技術のオナニーみたいなものがいっぱいありますな,このあたりには(東海北陸自動車道の橋脚とか)。

白鳥町からは,R158とR156の重用区間を通って,高山方面へ。途中の蛭ヶ野峠に,分水嶺がある。国道からも見えるどでかい石碑の前に立つと,左手には太平洋に注ぐ長良川,右手には日本海に注ぐ荘川がある――ことになっているのだが,雪に埋もれてしまって,確かめるために近づくことすらままならない。よほどラッセルしてやろうかと思ったが,やめておくことにした。さすがにここまで来ると,除雪の行き届いていない区間もあったりして,ところどころに雪が残る。雪道と乾燥路が交互に現れるような道路をさらに1時間半ほど走って,高山に到着。高山は(というか高山本線が)好きで過去にも何度か来ているので,懐かしい感じである。雪の積もった高山の町並みも風情がありそうだと期待していたけれど,意外と降らないのか,積雪はゼロだった。

観光もせず高山を後にして,さらにR158を松本方面へと走る。高山から先は,長野県境手前にある平湯トンネルまでずっと登り坂で,標高が高くなるにつれて雪深くなり,山間道路らしい雰囲気が一段と強くなる。スキーに行く車や観光バスなんかで交通量は思ったより多く,平湯トンネルを抜けたあたりから,安房トンネルのあたりまで渋滞していたぐらいだった。ここは,750円とお高い安房トンネルを抜けて,長野県に突入。そういえば,安房トンネルの長野県側の坑口は,本来の坑口ではないらしい。R158との取り付け道路を造る際に事故があって,トンネルそのものを少し掘り治したそうだ。確かに,トンネル外の山の斜面にも未使用の坑口や橋脚が残っているし,安房トンネルは途中で不自然に曲がっている。曲がっている付近をよく見ると,分岐らしき箇所があるように思えたのは気のせいかな。

安房トンネルからは,薄暗くて狭いトンネルだらけの道を通って松本まで。福井から松本までR158を完走し,かかった時間は6時間ぐらいだったかな。



あけましておめでとうございます
2004年1月1日(木曜日) くもり/雨@大阪

新年あけましておめでとうございます。今年もよろしく。

今年は,広島で鍋をつつきながら新年を迎えた。とはいえ,大晦日の夕方に大阪から広島へ行き,元旦の午後には大阪の実家へとんぼ返りして申し訳程度の正月をやったあと,夜に横浜へ戻るという,やたらと移動の多いスケジュールだったので,いったいいつどこで年が明けたんだか,っていうのが正直な印象である。しかも,一緒に広島へ来るはずだった友人が二日酔いでドタキャンしたりと,最初から最後まで一人旅になってしまったのはキツかった。こんな強行軍がいつまで続けられるのかと,そろそろ限界を感じるところだったり。

大阪から広島までのルートは,梅新→新御堂→大阪中央環状→R176→阪神高速北神戸線/山口東IC→第二神明西線→R2無料バイパス→R2。阪神地区の地理に詳しい方なら,なんで北神戸線やねんと思われるかも知れないが,渋滞していた神戸線を迂回するためである。これが大阪北部から姫路方面に向かう際の,わたしの知る範囲では最速&最安ルートで,ホントは教えたくないぐらい。R176の平面区間がモタつく以外はよく流れ,北神戸線なんかガラガラだから飛ばしまくれるわりに,料金は北神戸線の500円と第二神明西線の100円しかかからないなので,コストパフォーマンスは抜群によろしい。大阪市内からだと微妙だが,今回のように神戸線が大渋滞していて新御堂が流れているときなら,迂回ルートとして使ってもいい感じがする。

阪神高速北神戸線については,なんであんな山の中に道路を造ってるんだと疑問に思っていたけれど,地図をよく見ると,阪神高速神戸線や大阪市内などから通過交通を山側に分散化させる意図もあるように思える。迂回路としては海側に湾岸線もあるが,神戸側では住吉浜で途切れているのは便が悪いし,大阪側では天保山で連絡しているというのもイマイチで,どっちにしろ阿波座を通るんなら神戸線に行きたくなる。その点,第二神明と中国道の間を連絡する道路はわりと便利なはずで,姫路あたりから伊丹空港など大阪北部に用事がある場合とか,京都方面へ行くときとか,近畿道に入るときなんかにも使えそうだ。そういう需要は限られていると思うが,もう少し積極的に宣伝をすれば,ガラガラすぎて無駄を極めているという状況は改善できるんじゃないかな。

広島からの帰りは,下道を走っている時間がなかったので,広島自動車道を通ったあと,広島北JCTから中国自動車道を一直線に走って,中国吹田ICまで約3時間半(制限速度ではあり得ない時間ですけれど)。普通の人は山陽道を通るものだと思うが,ひねくれ者だから敢えて中国道経由。あんまり良い道路ではないと聞いていたが,確かにその通りで,勾配はきつく,半径250メートルみたいなカーブはやたらとあって走りにくいし,おまけに冬場は雪も積もるとあっては,みんな山陽道に回るのもよくわかる。中国道が不必要だとは言わないけれど,どうしてあちらを先に開通させたのかねえ。優先順位として,山陽道と山陰道を整備してから,真ん中に一本というのなら分かるんだけれど。



突撃実験室