台湾一周 (その3)
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台北車站から瑞芳へ (2002年8月2日)

台北市内を少し観光したあと、台北車站から列車に乗るのだ。鉄道による台湾一周旅行の幕開けである。

地図

初めに向かうのは瑞芳だ。台北から北廻線を東へと進み、特急列車で45分ほど走ったところに位置する小さな街である。瑞芳自体に何かあるわけではないが、瑞芳車站(駅)は、平溪線という、山間部を通るローカル線の起点になっており、この平溪線に乗りにいくのである。平溪線は盲腸線だから、これでどこかへ行けるというわけではないが、幹線のみならずローカル線も味わっておきたいし、沿線には「十分瀑布」という滝がある。終点の菁桐車站に建つ、日本統治時代に建てられた駅舎を見ておくのも悪くない。

さて、台北市内のど真ん中に聳える台北車站の駅舎は、中国の宮殿様式風に作ったような感じの実に立派な建物だ。であれば、列車が発着するホームもさぞかし趣に溢れるものなんだろうな、と思いきや――線路はすべて地下化されているので、ホームも改札口もすべて地下にあり、駅舎の中にあるのは切符売り場や食堂街、それに鐵路管理局の事務所といったものだけ。周囲に高架橋もなければ、入線してくる列車の音も聞こえないためか、いまいち駅の感じがしないのが玉に瑕?

台北車站(外観)
突然の雨に曇る台北車站。
台北車站(切符売り場)
空間の無駄遣いと言いたくなるほど広い吹き抜けの切符売り場。

瑞芳へ向かうために乗った列車は、10:35発の「自強號」2033次。「自強」というのは、最優等の特急列車のことだ。このほかに「莒光」「復興」といったものがあるが、たとえば「あずさ」というような愛称とは違って、列車の優劣を示す記号でしかない。日本で言うところの「特急」「急行」などに対応するものだ。「次」というのが列車番号で、日本の「号」に対応する。運賃は 80元。日本の新幹線の同距離運賃と比べると1/3程度で、台湾国内の交通費は全般的に安い。

乗車券
乗車券。磁気化はされておらず、ただの感熱紙。ちなみに、空色ではなかった(謎
乗車券
乗った列車の客車。台北車站の地下ホームにて。ボケ写真で申し訳ない。
乗車券
これまたボケているが、電気機関車によるプッシュプルであった。
乗車券
車内の雰囲気。日本の特急と比べれば程度は落ちるが、十分だ。
瑞芳 (2002年8月2日)

台北車站の地下ホームを出た列車が、そのまま真っ暗な地下区間を走るのは15分ほどだろうか。ようやく地上へと上がったときにはすでに郊外を走っていたので、街から段々と離れていく様子を伺えないのは少し残念であったが、川沿いを走る列車の車窓を長めながら、ようやく外国へ来たという実感が沸いてきた。台北の街並みはあまりに都会的すぎて、乱暴に言ってしまえば、日本の街と大差はない。だが、郊外へ出てきて、ようやく東南アジアらしい雰囲気が出てきたのだ。お世辞にも都会的とは言えない、雑然とした景色の中に、すごい高層マンション群が時折現れる。日本では、こんな景色は見られない。

巨大マンション群
手前の都会的でない景色と比べると、何だかすごい。多分、基隆市郊外。

定刻の11:14、自強2033は瑞芳車站に滑り込んだ。ここにきた目的である平溪線の切符は、ホームにある改札口で売っている。時刻表を確認すると、列車の時刻まで少し間があったので、取り敢えず切符だけ買ってから、瑞芳の街をぶらぶらと歩いてみることにした。台湾の幹線鉄道は、台湾島の沿岸をぐるりと廻る環状構造になっているので、一周は時計回りでも反時計回りでもできる。今回は時計回りにしたが、これは正解だったと思う。都市化の進む西海岸側に比べて、東海岸側の発展は遅れ気味であるため、地方の趣を、初めにたっぷりと味わえたからだ。瑞芳における時間の流れ方は、都会のそれとは明らかに違った。

瑞芳の駅前
瑞芳駅前のタクシー乗り場。台北とはぜんぜん違う街並みだ。
瑞芳の商店街
商店街。
移動販売車
商店街で見かけたオート三輪移動販売車? 良い感じ。
近代的な建物
近代的な建物もないわけではない。どうやら予備校らしい。

お昼ごろ、同行者が瑞芳の駅前に出ていた屋台で「ネギ餅」を買ってきた。少し分けて貰うと、これがまた美味い! 小麦粉を練ったものにネギを混ぜて油で焼いたか揚げたかしたものだと思うが、とにかく美味いので、わたしも昼飯がてら買ってきた。確か15元かそこらのものだったと思うが・・・。喜ぶべきなのか、悲しむべきなのか、食べ物の中では、これが今回の旅行におけるベストヒットであった。

平溪線 (2002年8月2日)
(編纂中)
十分瀑布 (2002年8月2日)
(編纂中)
2002/11/10 作成
制作 - 突撃実験室