文法解説弐−接続助詞について


 接続助詞。これは文と文をつなげる言葉です。ただし、何の後ろにつくかというのは格助詞とは違い、基本的には動詞につきます。動詞のどの活用かというのは個々の説明で書いていきます。
ざっとあげると、ば、ど・ども、とも、を、に、が、て、して、で、つつ、ながら。
 前回と違い口語での使用例はあげていません。というのは格助詞はほぼそのまま口語になりますが、接続助詞はそのままではないからです。短歌のサイトである以上、それを調べるために更新が遅くなるというのもおかしいと思いますので。



T:仮定の条件を示す(どうしたならば)。未然形につく。
U:確定の条件を示す(どうしたので、〜〜と)。已然形につく。
つく動詞が未然形か已然形かというだけで、全然違う事実関係になってしまいます。ただ「何々をしたので」とそれほど強い因果関係があるわけでもなく、さらっと流しているように使うこともできます。
「ば」は理めいた歌と評されやすい特色を持っているので、使うときは一首全体でバランス良くできているか注意しましょう。

短歌での使用例。
T:藤なみの花の紫絵にかかばこき紫にかくべかりけり(正岡子規)
 「かかば(かくのであれば)」を「かけば」にするとUの確定の条件になってしまいます。
U:瓶にさす藤の花ぶさみじかければたたみの上にとどかざりけり(正岡子規)

 短いので、届かない。


ど・ども
逆接を示す(〜〜けれども)。已然形につく。
逆接で「何々であるけども」「何々しても」と言う意味です。順接の「ば」とは反対の意味になりますね。
「ども」は係助詞「も」がくっついただけなので、意味は同じです。

短歌での使用例。
夕顔の棚つくらんと思へども秋待ちがてぬわが命かも(正岡子規)
 作ろうと思っているけれども。
新しき明日の来るを信ずといふ/自分の言葉に/嘘はなけれ(石川啄木)


とも
仮定の条件の上に成立する逆接を示す(たとえ〜〜ても)。終止形につく。
逆接ではありますが、仮に○○しても、と言う感じで使う言葉です。

短歌での使用例。
君に誓ふ阿蘇の煙の絶ゆるとも万葉集の歌ほろぶとも(吉井勇)
 仮に阿蘇の煙が絶えても、万葉集の歌が滅んでも、君に誓った言葉は違えはしない。私の好きな歌の1つかも。



T:逆接を示す(〜〜のに)。連体形につく。
U:詠嘆(〜〜だなぁ)と受け取れる場合は終助詞。

短歌での使用例。
T:白露の色はひとついかにして秋の木の葉をちぢに染むらん(古今集・藤原敏行)
 ひとつであるのに、どうして様々に染めるであろうか。
U:八雲たつ出雲八重垣つまごみに八重垣つくるその八重垣(古事記スサノオ)

 ああその八重垣よ、といった感じの意味合い。昔はこれが主流でしたが、現在はTのような使い方もできています。
 歴史的にはUからTに変わっていったわけですが、その間には時間も相当かかり、その間の短歌もある
ようですが、ここではあげません。



T:逆接を示す(〜〜のに)連体形につく。
U:単純に接続する(〜〜て)連体形につく。
V:順接を示す(〜〜ので)連体形につく。
格助詞との違いに注意。格助詞は基本的に体言につきます。


短歌での使用例。
暫くを三間うち抜きて夜ごと夜ごと児等が遊ぶ家湧きかへる(伊藤左千夫)
 遊ぶと家がわきかえる、といったところでしょうか。Uの用例だと思います。



T:逆接を示す(〜〜けれども)連体形につく。
U:単純に接続する(〜〜て)連体形につく。
本来格助詞としての使い方のみでしたが平安時代中期から見られる使用法だそうです。しかし現在の短歌でも大半は格助詞として使われています。

短歌での使用例。
 用例が見つかりません。見つかったら追加します。



単純に接続する(〜〜て)。連用形につく。
しかし、たまに逆接風に使われている物や意味を持たせて使われている物もある。便利だからといって3つも4つも使うと焦点がぼやけてしまうので使いすぎには注意。

短歌での使用例。
限りある命は永久に続かぬと弱り細る曾祖母を見る(自作)
弱って細る、という感じです。今非常に例を探すのが面倒になってきました。。。


して
単純に接続する(〜〜て)。連用形につく。
上の「て」と意味は変わりませんが、もともと漢文の読み下しに使われた物なので、若干強くて硬い印象を持ちます。語感は重要なのでくれぐれもご注意を。

短歌での使用例。
 見つかりませんなぁ。このへんはちょっと特異な言葉なんでしょうかねぇ。参考までに論語の「30にして立ち、40にして惑はず。」のしてがこれと同じです。



上の動作を打ち消して、下へ続ける(〜〜ないで)。未然形につく。
もともとは打消の助動詞「ず」に接続助詞「て」が続いた「ずて」が、縮まって一語になった物が「で」だそうです。

短歌での使用例。
やは肌のあつき血汐にふれも見さびしからずや道を説く君(与謝野晶子)
 使い回ししすぎで申し訳ないです。見る(上一活用)の未然形「み」に接続しています。


つつ
T:2つの動作の平行を表す(〜〜しながら)連用形につく。
U:動作の反復・継続を表す(〜〜し続ける)連用形につく。
「つつ」が一首の末尾に来ると詠嘆風の余情も残るようです。ちなみに平安時代までの「つつ」はUの反復継続だけだそうで。。。

短歌での使用例。
西吹くや富士の高根にゐる雲の片寄りにつつ一日たゆたふ(島木赤彦)
 雲が一方に片寄りながら、一日がたゆたっていることだ。


ながら
T:2つの動作の平行を表す(〜〜しながら)体言(名詞)、連用形につく。
U:逆接を示す(〜〜のに)体言(名詞)、連用形につく。
V:そっくりそのままの意味を示す(〜〜のまま)体言(名詞)、連用形につく。

T歩きながらパンを食う。U知っていながら知らないそぶり。Vは口語文にはない使い方なので下にあげます。Vは接続助詞にいれずに接尾語をするという節もあるようです。
 3つのどれにも該当しそうな物もありますが、言葉は分類からできたわけでなく多くの言葉を分類した訳なので、無理矢理な解釈や使用はやめたほうがよいでしょう。

短歌での使用例。
T:水底に魚ぞ泳げるありとしもわかぬかすけき影ひき
ながら
 影をひきながら・・・・なのでTの動作の平行です。
U:吾が見るは鶴見埋立地の一隅ながらほしいままなり機械力専制は(土屋文明)
 一隅だけれども、欲しいままになっている、なのでUの逆接。
V:白埴の瓶こそよけれ霧ながら朝はつめたき水くみにけり(長塚節)
 霧の立ちこめたままの中を朝は−略−水をくんだことだ。


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