文法解説参−副助詞について
副助詞・・・体言・副詞などにつき、上の語に副詞の性質を帯びさせ下の用言の意味を限定する助詞。
と辞書に書いてました。
例「私は知っている」→「私だけが知っている」
文語(短歌で使われる物)では「だに、すら、さへ、のみ、ばかり」など。
口語では「まで、だけ、など、きり、ずつ」等。
今回は短歌での例が見つかりにくいと言うこともあり、できる限り口語での例を挙げて説明しています。類推解釈して下さい。
だに
T:最小限の一事を取り出して強調する。口語で「せめて・・・だけでも」の意味です。意志・命令・願望・打消の意などをあらわす文に用いる。
U:軽い物をあげて他の重い物を推測させる。口語で「…だって。…のようなものでも」の意味です。
T,Uとも文節につく。
短歌での使用例
T:塔の尾の御陵の山の夕花のしづけき見れば音だにもせよ(折口春洋)
(前略)夕暮れの桜のなんて静かな事か。せめて何かの物音だけでもしてくれ、と思う事よ。てな感じですかね。御陵は「みはか」と読みます。
U:いはほきる音ものどけき谷かげは若葉にさはる風だにもなし(尾上柴舟)
若葉に触る風もないのだから、当然枝を揺すったり音を立てたりする風はない。ということを言うわけです。
すら
T:ある1つのことを特に強調する言葉です。口語で「…でも。…でさえも」の意味です。
U:あることを特に強調して他の物を類推させる言葉。口語で「…だって。…だけでも」の意味。
「だに」と似ているがこちらは甚だしい例を示して類推させるようです。TとUの違いは強調するだけか、類推させるかです。言外に例を示すようなことではない場合、Tになるんでしょうかね?
ということは大雑把には同じと見ても良いのでは?
T,Uともに体言、副詞、助詞「や」、活用語の連体形などにつく。
口語を例にした使用例
T:理想に生きて迷いすらない。
U病気で飲酒すら止められた(当然煙草もダメだ)。
短歌での使用例
U:海山の鳥けものすら子を生みて皆生きの世をたのしむものを(伊藤左千夫)
意味の上ではTでも通じそうですが、歌としてみた場合、これはUでしょうか。鳥獣だってこうなのに…人間はそうじゃないのか?と私は思うのですが。
さへ
T:添加の意味。現在の状態などの程度を増したり、範囲を広げたり。口語で「…まで。その上…まで」といった感じの意味。
U:程度の軽い物をあげて、重い物を推測させる。口語で「さえ」。そのまんまやな。
T,Uとも体言、活用形の連体形、副詞、助詞などにつく。
口語を例にした使用例
T:禁煙させられた。その上、酒さえ呑ませてもらえない。
U:倒れた薬の瓶さえ起こせなくなってきた。
短歌での使用例
T・U?:白玉の指も細れば指環さへ抜けて落つると言ふはまことか(吉井勇)
このへんは結構どっちつかずだと思う、というか分岐した物だから似てるのは当然か。指環までもが抜けて落ちる(=もっとひどい症状があるのでは?)、といったところでしょう。現在は「すら」、「だに」とあまり区別なく使われているようです。
のみ
T:限定をあらわす。口語で「だけ」「ばかり」の意味。
U:限定して強調する。口語で「とくに、もっぱら、とりわけて」。
体言その他諸々につく。用言、助動詞は連体形。
短歌での使用例
T:明日といふよき日を人は夢に見る今日のあたひはわれのみぞ知る(与謝野晶子)
私だけが知っている。
U:同じ茂りふたたびは見ぬ木陰ゆく命のみこそただに長しも(土屋文明)
特に命、と強調している。
ばかり
T:数量をあらわす。口語で「…ぐらい。…ほど」の意味。
U:動作、作用の程度をあらわす。口語で「…て間もない」。
V:それだけに限定する。口語で「だけ」。
口語を例にした使用例
T:すんませんけど、煙草を3本ばかりいただけませんか?
U:お茶を入れたばかりなのに、電話がかかってきた。
V:ブッシュの言うことは「大量破壊兵器」ばかりだ。(ばっかりはばかりの促音化されたものです)
短歌の使用例
V:いちはつの花咲きいでて我目には今年ばかりの春行かむとす(正岡子規)
今年が最後、と実感しているからこそでる「ばかり」です。
など
T:主な物をあげて、他にも類似のあることを示す。
U:柔らかく言う。
V:打消、反問などの意を強める。
W:引用句を受けて、だいたいこのようなことの意味をあらわす。
口語を例にした使用例
T:日本たばこ産業の主力商品はピースなどです。(多分違うけど)
U:この服なんか(など)いいんじゃない?(意味が違うかも知れません。Tとかぶり気味ですね)
V:こんな服など着られるか! こんなことなど信じられるか!?
短歌での使用例
T:小奴といひし女のやはらかき耳朶なども忘れがたかり(石川啄木)
耳だけ忘れていないのではなくて当然、顔も覚えているわけです。
U:わが恋を/はじめて友にうち明けし夜のことなど/思ひ出づる日(石川啄木)
W:うつし世になごりの歌を書かむなど思ひつつ摺る墨にやあらむ(吉井勇)
辞世の句でも作ろうかなー、なんてー思ってー。あぁ、アホっぽい。
まで
T:動作・作用・状態の程度をあらわす。口語で「くらい、ほど」。
U:限定をあらわす。口語で「…だけ、…にすぎない」。
V:動作・作用の帰着点・終点を示す。口語で「…まで、…に」。
W:動作・作用の及ぶ時間的空間的な限界を示す。口語で「まで、くらい」。
V,Wは格助詞と見なす説もあるようです。どっちにするかは学者に任せて、格助詞的な意味合いだということを理解しておいて下さい。
口語を例にした使用例
T:湯気が立つまでお湯を沸かす。湯気が立つくらい。
U:電車が来るまで(だけ)ホームにいるよ。(これ、間違ってるかも)
V:大阪まで行くねん。
W:雨は明日まで降りそうだ。明日くらいまで降りそうだ。
短歌での使用例
U?:現世に仏おませば叶へ賜へ孫らの顔を生きて見るまで(斎藤知宏)
これは何番に該当するんでしょう。生きて見るまで死なせるな、という意味なのでUの限定でしょうか。わかる人がいたら教えて下さい。