秋来れば誰も色にぞなりにける人の心に露や置くらむ 源重之
第二回は紅葉の季節も近づいてきたので、おもしろいかなと思い選びました。
これは第六十四代円融天皇皇后藤原遵子陛下の草子の絵を読んだ歌らしいです。
恋文を書く女を友達が見ている、という絵らしいのですが。
早速、意味から。
1.秋が来ると
2.誰も色っぽく
3.なるものだなぁ
4.人の心に
5.露が置くのだろうか
流れとしてはわかりやすい歌ですが、おもしろいと思ったのは結句。
露が置く、というのは、露で紅葉する事からの連想だそうです。
露で紅葉がきれいに染まるように、おなごが色っぽくなる、というその発想が買いです。
では、分解してみましょう。
★来れば=来(自・カ変)、読みは「く」です。
「くれ」は已然形なので接続助詞「ば」の二個目の意味、確定条件だとわかります。
こば(来ば)とやってしまうと、来たならば、と仮定条件になります。
★色にぞ=色は色っぽくの意味のようです。文章的には、色にと言えば済むところを強調して、係助詞の「ぞ」を使っています。ちなみに係り結びの法則ですが、必ず連体形で受け止めなくても良くて、終止形で終わることも良くあります。これを流すというようです。
★なり・に・ける=なる(自・四)の連用、完了助動詞「ぬ」の連用「に」、
回想の助動詞「けり」の終止形「ける」です。
なりだけだと「なる」、なりぬで「なった」、なりにけるで「なったものだなぁ」と、3つもくっついていますからこの歌の中では一番ややこしいですね。
なるの連用、ぬの連用なのは、接続するための条件です。これは助動詞を調べるとのっているので、その助動詞にあわせた変化をさせましょう。
★置くらむ=置く(自・四。他動詞も同じ)に推量助動詞「らむ」です。
らむは終止形に接続するので、置くらむ。置くのだろうか、ということですね。
ここで勉強になるのはやはり「なりにける」「置くらむ」の助動詞のつなぎ方です。間違っていては話にならないばかりか、調べて読もうとする人間(わし)が混乱するので作歌の際にはぜひ確認して欲しいです。
それから、こういった作り方もあった、と言うことも覚えておきましょう。今でいえばドラマや映画にあわせて歌を作る、といった感じでしょうか。こればかりになるとただの言葉遊びの側面が強くなりすぎますが、時には練習になって良いでしょう。たまには息抜きでやってみても良いかも知れませんね。もっとも、当時の人たちは出世や人生がかかっていたような気がするんですが。では、また次回。
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