名歌で学習 第九回

雪のふりけるをよみける
冬ながら空より花のちりくるは 雲のあなたは春にやあるらむ  きよはらのふかやぶ

変温動物つらいシリーズ第2弾です。
こちらも古今集冬の歌からです。
しかし、「白雪の」と比べると、ややロマンチスト感、ドラマチック感があふれている感じになりますね。
その色合いの違いも感じながら読んで欲しいと思います。

まずは全体の意味から。
1.冬であるのに
2.空から花が
3.散ってくるのは
4.雲の向こう側は
5.春なのだろう。
さらっと読めるわかりやすい歌ですね。
細かく読もうとするとなかなか難しい気もしますが、普通にさらっと読む分には大丈夫でしょう。
姫路で吹雪いているのを見たときは、「白雪の」ではなくて、こちらの方がしっくりきました。

では、ばらしてみます。
★冬ながら
 ながらは接続助詞で、上と下の矛盾状態を示すのに使われます。
つまり、冬と花(昔は、桜か梅)はもともとつながらない言葉であるのに、
それを並べるための「ながら」です。

★ちりくるは
 散る(自・4)、来(自・カ変)、係助詞は、です。
「は」は「が」と違いはっきり提示する意味を持ちます。
よって、「冬ながら空より花の散りくる」は!と提示しているわけです。
で、「は」につなげるのに「くる」と連体形にしているのは、
ちりくる「事」という意味合いを含む故でしょう。
一方、散るは用言に連なるために連用形で「散り」になっています。

★雲のあなたは
 あなたというのは彼方とかき、貴方へ転じたもの。
つまり、もともとは向こう側、自分じゃない側、という意味からでたもの。
自分たちは冬だけど、雲の向こう側は春なのか、という区別の発想です。
ちなみにこの歌「は」が2回もでてきています。
分断されてしまう感もなく読めるのは、比較的うまくできている証ですね。

★春にやあるらむ
 春、にや(格助詞に、係助詞や)、あり(自・ラ変)、らむ(推量助動詞)からなっています。
 春にや、は反語的な意味を持ちます。
ラムに接続するのは通常終止形ですが、ラ変のみ連体形の接続なので、
あるらむ、となります。ざっと訳せば「春なんだろうか」という感じでしょう。反語を使っているところがみそか。

ドラマチックな作り、悪く言えば演出過剰といった感じのある歌ですが、
その一方で「雪のふりくるをよみける」という詞書もあり、「春にや」と反語まで使っています。
結構冷静な感覚を維持したまま、好きこのんで演出過剰にしたのではないか、という疑いがありますね。
だからこそロマンチスト、と言う気がするんですが。だから、あまり参考にしない方がよいかも。

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