連作「乙女」


雑草とともにありても紛れずに咲く花のごと凛と立つ君

永久に散ることのなき桜花思はす頬のはにかむところ

重きドア肩越しに吾があけるときその肩薄く頼りなきところ

重きドア後ろから吾があけるとき洗ひし髪の香の立つところ

重たげにされど片手でグラス持つ白魚の指か細きところ

白き頬に対をなしたる黒髪の流れ流れて落ちたるところ

内側にかけたる時計見るときに覗く手首のいと細きところ

黒髪の流れ落ちたる間より先だけ覗くほの赤き耳朶

吾に向ける丸く大きな双眸の揺れる事なきますぐなところ

噛まれたし艶なる桃の唇の間より見ゆ犬歯は白し

開き襟の紺色のシャツの胸元に銀のハートの輝くところ

君酔はば紺色のシャツ襟はだき清楚に光る胸吸はましを

君許さばちさきその身を横たへて細き足首口づけせましを

君求めば長き黒髪撫でましを石鹸の香の首吸はましを

改札を抜けて乗り場に向かひたる歩む背筋の伸びたるところ

改札を抜けたあとにも一度だけ手を振るために振り向くところ


平成壱拾五年弐月弐日 斎藤知宏

気付いた人もいるでしょうが、これは正岡子規の「足たたば・・・ましを」、
斎藤茂吉の地獄絵図の文末「ところ」でのようにまとめて作った物です。
ただ実験的に作っただけなのでうまくまとまらず「ところ」以外の文末もあります。
これは統一するべきか迷った末、ごっちゃに並んでいます。
1つの言葉に固執して無理にまとめるのは私の主義にはあいません。
やはり思ったものをそのまま詠むべきだと判断しました。
まぁ、まとめられない私の力量不足でもあると思うのですが・・・。
作り方でまとめるのは実験ですが、題材などは別に実験ではなく、見たままを詠んでいます。
本人が見たら大変ですね・・・。
微妙にやらしい表現もありますがそこはご勘弁を。
それから、かなり無理なリズム感の悪い物もありますがそれもご勘弁を。

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