[H8-ML(3410)] Re: D/Aコンバータ
From: Shigeru Makino <mac@xxxxxxxxxxxxxx>
Date: 2003年06月20日(金)13時17分24秒
mac です。

"Pan, Guanguru" <pang@xxxxxxxx> wrote:
 
> その前のメールのから見ても相手はこの分野のプロでは
> ないかなような気がしました。良師が見付りました。ぜひ
> ご指導ください。

残念ながら、この分野ではなく、化学計測、光学、
Factory automation, Laboratory automation が、
中心です。
# 食えなくなればなんでもしますが (^^;

> >この用途だと、 DC 絶対精度はあまり必要ないですね。
> 
>  DC 絶対精度要らないの理由はなんですか?

計測器の場合、例えば基準電圧発生器とか、
ですが、 DC 精度が最も重要になります。

例えば、デジタルボルトメーターの試験/調整を行う装置を、
想像してみてください。
 DC 精度がなければ、トレーサビリティがない装置を、
大量生産してしまうことになります。

ところが、音声を発生させる場合、最終的に聞いているのは、
人間で、たいてい「ボリューム」がついていて、
好みの音量に調節して使います。

DA から、正確に 1V p-p の出力をだしたって、
うるさいと思えば小さくするし、
聞こえなければ、大きくするんで、
DA の出力が 0.8V でも、 1.2V でも、
たいした問題じゃないですね。

> スピードのほうはどうなりますか?

当然 Sampling 周波数が出れば、問題ないです。

> もし精度およびスピード両方の仕様はそんなに厳しくなければ、バッファ+抵抗32個
> (Rネットワーク)を使って電圧加算型R-2R抵抗ラダー方式のD/Aコンバータにして
> MPUのI/Oポートからの信号を入力すれば、一番簡単だと思いますが、

電話音質の 8kHz, 8 〜 10bit なら、それで十分です。
でも、元の質問では、音質を重視されていましたね。

変換タイミングは結構重要で、ずれるとかなり音質に響きます。
少なくともラジオ音質、できたら、 CD 音質となると、
そう簡単にはすまないのです。

>  だったら、D/Aコンバータのどの特性を求めるべきですか?
>  ADPCM圧縮、伸長による音声合成の音質をどう評価すれば、よいでしょうか?
> どんな項目の評価が必要ですか?メーカーに確認したところでは耳で判断するって
> 言われました。

もちろん最終的には「聴いて」判断する性質のものですが、

> >別周波数 f1, f2 の正弦波を加算して作った信号を入力し、
> >f1, f2 以外の周波数成分がどれくらい発生するかが、
> >問題となるわけです。
> 
>  音声信号の周波数範囲は0.2KHz〜3.4KHzです。だとすれば、
> f1,f2はどんな周波数を設定すれば宜しいでしょうか?何か基準は
> ありますか?

オーデオ分野のアプリケーションに向けて作られた、
DAC には、 IMD というデータがたいてい付いています。
混変調歪 (Intermodulation Distortion)といいまして、
音質にかなり効いてくるパラメーターなんです。

例えば、 1 kHz 単独の正弦波が、多少歪んでも、
発生するのは、 2kHz, 3kHz と言った倍音で、
人間の耳にはかえって「丸みがあって良い音」に聞こえますが、
きれいにハモるはずの、ド(261.6Hz)とミ(329.6Hz)に、
IMD が絡むと、 261.6Hz + 329.6Hz = 591.2Hz 、
329.6Hz - 261.6Hz = 68Hz その他が、混ざってしまい、
なんとも濁った音になってしまうんです。

まずは一番上と一番下、
0.2kHz と、 3.4kHz 付近で、
整数倍にならない 2 正弦波の混合を、
最大出力の 50%あたりで、
入力して調べるのが基本です。

出力から、この 2 周波数成分を引いた、
残りのパワーを求めるわけです。

昔は、アナログフィルターで、
やっていたから、大変な測定だったと思いますが、
いまなら、中級以上の USB オーデオアダプタの
 AD コンバーターでパソコンに取り込み、 
FFT や MEM で計算できるので、
いろんな周波数でやってみてもたいした手間じゃないですね。

でも、オーディを用に作られた DA なら、
多数比較するまでもなく、
普通の人の耳では区別できない程度の性能を、
たいてい持ってますね。

-- mac


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