[H8-ML(4491)] Re: プログラム読み出し
From: Shigeru Makino <mac@xxxxxxxxxxxxxx>
Date: 2004年02月22日(日)03時15分17秒
macです。

"Ken Tajiri" さん <ken-ichi@xxxxxxxxx> wrote:

> > この件ですが、
> > 一般のアプリケーションソフト作成を依頼した場合、
> > 依頼した会社はコピーを作って利用すると思うんですが、
> > 読み出してコピーすると使用権は認められない言うことになる
> > んでしょうか?

"Ken Tajiri" さんが、おっしゃる通り、
これは契約により、倒産時に、そのソフトの著作権が、
どこに所属していたかによります。

> > まあ、契約にもよるとは思うんですが。
> > 発注時の契約書なんか交わしてなかったとおもいますが。

契約書の有無と、「契約」は極論すれば無関係です。

八百屋の店先で、「この大根いくら?」
「150円でどお?」「じゃ150円ね。」
これは立派な売買契約の成立です。

> 成果物として何を納品するかという話だと思います。

そうです。
「検収条件が、何を持って検収と双方が合意する/したか」に、
よります。

> 「ソフトウェアを組み込んだデバイス」を納品するという契約なら、
> 依頼元が必要な数だけ納品するのが普通ですし、そうでないなら
> 「デバイスに組み込み可能なバイナリイメージ(およびそのソース
> コード、ドキュメント一式)」を納品するというのが一般的かと
> 思います。

まあ、「一般的」を司法関係でも多少は考慮しますが、
それよりは、契約書に何とかいてあったか、
お互いに、どのような合意がなされてたかを優先します。

トラブルが起きると「どのような合意」がなされていたか、
当事者間で不明瞭になり、実際はどうだったのかを、
客観的に判断できなくなります。

だからこそ、書面に記した契約書、
特に仕様と検収条件、その後の著作権、
工業所有権の所属もしくはそれらの実施権の形態が、
どのように文書に記されているかが重要なのです。

> 1個しか納品されていないなら、必要な数が1個だけだったという
> 事だと思われますので、コピーすること自体問題があるような気が
> します。

「1個しか納品されていないなら、必要な数が1個だけだった」
と言う解釈は、かなり無理があります。

もちろん、契約書でそのように明記されていれば、
それは有効ですが、試作品1個を作る契約でなく、
その後も、継続してロイヤリティを支払うことが、
口約束であってもなされていたり、
そのバイナリ―を書き込んだCPU chipを供給することが、
書面でなくても合意されていれば、複製は契約に反します。

特約がない限り「検収」が完了するまで、
もしくは、その代価が支払われるまで、
著作権、工業所有権は、依然倒産会社に所属しており、
破産財団の資産とみなすのが妥当と思われます。

破産管財人(普通は弁護士)と話し合い、
そのソフトウエア資産を買い取る契約を、
結ぶのがもっとも好ましい形です。

通常、破産管財人は、その価格が妥当かどうか判断できず、
また他に「販路」を持っているわけではないので、
それが、「検収」が済んでいない未完成の物であり、
この先、完成させるのは、相応の工数が必要なことを、
客観的に説明すれば、かなり安い値段で、
交渉が成立するはずです。
# 実際交渉したことがあったりして…  (^^;

その場合、倒産会社にソースコードを提供するよう、
命令できますので、あえてバイナリ―を読みだすこと自体、
不要になります。

-- mac
スレッド概略
[4482(R)](起点)
 └[4490(U)]
   └[表示中]


投稿順に移動
[←前の記事へ(P)]
[→次の記事へ(N)]


リスト表示へ
[このスレッド(T)]
[本記事の前後(L)]