Lava Lampを作ろう2


こちらで行った Lava Lamp 実験は失敗に終わったが、失敗のまま放置していた訳では無い。ちゃんと続きの実験をやっていたのだが、あれ以来、幾度の試行錯誤を行ったことか。その辺の課程は涙無しには語れないものがあるが、取りあえず、本稿では実験の続きを報告する。



前回の実験では上図のうち、悪い例の方を作ってしまった。そもそも、フラスコという容器の形状に問題があり、比較的背の高い円筒形の容器を使った方が成功するだろうと考えたわけだ。そこで、そのような容器を探すことから始まったのだが、なかなか都合の良い物が無い。耐熱ガラスで出来ていて、背の高い円筒形のもので、尚かつ蓋のできるもの...色々と探った結果、こんなものを見つけた。



サントリーのソーダ水の瓶。耐熱ガラスではないものの、背が高くて蓋が閉まるという条件は満たしている。この際だから、温度変化で割らないように気を付けることにして、耐熱性は諦めることにする。



フラスコに入っていた材料を新しい容器に移し、早速実験開始である。適当に加熱してみると、Lavaは盛り上がり、浮こうと懸命に頑張っているのが分かる。しかし、どうもココというところで踏ん切りが付かないのか、盛り上がるだけで止まってしまうのだ。これは食塩水の濃度を濃くしても変わらない。きっと他に悪い条件が存在するはずなのだが、何が悪いのだろう? あーでもない、こーでもないと実験しているうちに...非耐熱ガラスの弱みが出てしまい、底の部分にヒビが入ってしまった。このまま実験を続行すると底が抜けて大変なことになるので、この日は中止した。

話は逸れるが、耐熱でないガラスでも比較的ゆっくりとした温度変化では、ヒビが入ったり割れたりすることは少ない。しかし、急激な温度変化が起きると、まずは強度の無いところにヒビが入るのが普通だ。ガラスの一部分だけの温度が変化し、熱膨張の差からガラスが歪み、耐えきれずにヒビ割れが入る。これは耐熱ガラスでも起きうることで、極端な扱いをするとヒビが入る(というより、普通のガラスと違って朽ち果てる)。耐熱ガラスは普通のガラスよりも熱膨張率が小さいのだが、膨張しないわけではない。

ヒビ割れが小さいうちは割れるには至らないのだが、更なる温度変化で歪む度にヒビが成長し、最終的に割れてしまう。車のフロントガラスに入ったヒビ割れが成長するのをご存じの方も多いと思うが、これも同じ原理で成長するようだ。振動に加え、気温の変化などによる歪みがヒビを成長させる原因となるようだ。すると樹脂埋め修理などは効果に疑問があるのだが、如何な物だろう。

話を元に戻す。新しい瓶を用意して再実験するのだが、それ以前に、

Lavaがり上がるだけで、浮かないのは何故か

というところを検証しなければならないだろう。

まず、Lavaであるところのベンジルアルコールは、単体ではそんなに粘度のある液体ではないが、水中ではかなりの粘度があるように見える。そして、Lavaの一部が熱せられ、食塩水よりも軽くなってが浮上しようとしたとき、粘性に捕らわれて浮上できずにいるように見える。あるいは、軽くなった部分の盛り上がりが小さすぎて、浮力の働きが良くない言い方もできる。すると、この状態で浮上するには全部が塊になって浮上せざるを得ず、塊だと周りの食塩水よりも重すぎて浮上できない。そのため、盛り上がった姿勢を保っているのではないか、という気がしてきた。

しかし、ならばLavaの量を増やしてみて、たくさん盛り上がらせてやれば浮くのではないか、という結論を得た。それなら全部浮き上がらなくても一部のLavaだけが浮力に負けてちぎれ、浮くのではないかということだ。そこで、早速Lavaを増やしてみる。



1.5倍増しぐらいの出血大サービスにしてみた。水が少々曇っているのは、食塩を飽和寸前まで入れたからだ。熱せれば透明になるので見なかったことにしよう。そして、今度は盛り上がり方が前よりも大きい。全体の循環が始まるまで少し時間がかかるようで、ヒーターに載せること約15分...段々と盛り上がり方が激しくなってきて、

お、おぉ...?



おう〜 浮いた! 沈んだ!

というわけで、試行錯誤の末の成功だ。しかし、まだ改善の余地はある。当初はフラスコサイズのミニLavalampを作ろうとしていたのだが、放熱や対流の関係から、ある程度の大きさのある容器でないと成功しない。今回使った瓶は最低限というところのようで、もう少し大きめの瓶を使った方が上手くいくように思う。また、Lavaの量もケチってはならず、それなりの量がなければ循環が始まりすらしない。従って、必然的に大きなものを作らないといけないようだが、取りあえず動作が確認できたので良いだろう。

なお、左の写真に心霊のような物が写っているが、あまり気にしないように。Lavalampは気まぐれに浮き沈みを繰り返すので、写真を撮るのも結構大変だった。暗くて露出が長くなると、その間にLavaが動いて黒っぽい幽霊のように写ってしまう。仕方がないので上からデカイ照明を当てて撮影したのだが、今度は反射が問題となる。光が反射しない適度な角度が見つかったか、と思ったら、今度は自分が反射していたというわけ。


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