多事毒論(2003年2月分)


納期前
2003年2月25日(火曜日) はれ

真夜中に食べる豚骨ラーメンの味が分かるようになってくると、こりゃ本格的に容易ならざる事態になってきたなあ、という実感がひしひしと沸いてくる。果たして、終わるんだろうか。いや備えあれば憂いなしだ。終わるんだろうかと考えているよりも、そろそろ、言いわけ集と事後処理マニュアルを考えておいた方がいいかも知れない。

という状態なので、郵便局の話の続きはまたあとで。



郵便局とバトった (1)
2003年2月19日(水曜日) はれ

某ISPのお客さま全員に封書を発送した際に、郵便局とちょっとしたバトルになってしまった。通常、郵便で封書を送るには一通あたり80円かかるが、同一の郵便区内のみにおいて発着する郵便物を同時に100通以上差し出すなどの一定の条件を満たすと、割安な市内特定郵便物という扱いにすることができ、さらに宛名にバーコードを印刷しておくと、一通あたりの料金は62円まで下がる。「市内」と言っても、横浜のような大都市では郵便区も概ね区ごとに分かれているため、横浜で市内特定郵便物を差し出すには各区の郵便局までいちいち行かなければならず面倒なのだが、特に通数の多い区域ではコストメリットが大きいため、今回は一部の郵便を市内特別扱いで発送することにしたのだ。

ところが、最後に行った横浜金沢局で、わたしが回った市内の12の郵便局のうち、なんと10局で一通あたり65円の誤った料金が適用されていたことが判明。ここでは、62円の正しい料金で計算されたため、誤りが発覚したのだ。65円は、バーコードが印刷されていない場合に適用される料金なのだが、どの局も揃って65円で計算してくるので、わたし自身もそれが正しいと信じてしまい気付かなかった。一カ所ぐらいなら人間はミスをする動物だと思って何も言わなかったかも知れないが、ここまで多いともはや偶然だとは思えない。横浜金沢局には関係のないことだが、各局における対応に関するその他の不満もこの時点では頂点に達していたため、領収書の束を出して、どうなっとんじゃ? と説明を求めたわけである。口調はあくまで穏和だった……ことにしておこう。

横浜金沢局には誤った領収書のコピーを取らせ、ミスがあった各局に連絡するよう要求したところ、その後の対応は実にスムーズに進んだ。当日のうちか翌日には各局からミスを詫びる電話が入り、全局が料金の還付に応じるという。もっとも、還付の方法には、局ごとに若干の差異があった。ほとんどの局は、差額を持って伺いますと言ってきたが、面倒くさそうな口調で、還付の書類を送るから、それに記入してくれれば現金書留で差額を送るという局もあった。自主的に「伺う」と言われると、そこまでして貰わなくても……と言いたくなるが、頭から不誠実だと「ほかの局は、持ってくると言ってるんですがねえ」と、敢えて来させたくなってしまう。結局、港北を除く全局が差額を持って今日やってきた。窓口担当者が責任を感じて自腹を切ったから書類はいらないという局も、一局だけあった。

しかし、12局中10局が同じミスをするようでは、郵便そのものに対する信頼も揺らいでしまうというもの。分かりやすいように、ミスのあった郵便局の一覧表を予め作っておき、差額を持ってきた郵便課の担当者さんに「この多さは尋常じゃないと思うんだけど」と、いちいち問いつめてみることにした。だが、判で押したように「原因は窓口担当者の確認ミス」という答えが返ってくるばかり。果たして、これが単なる確認ミスなんだろうか。仕事に慣れたベテラン風の職員にも何度と無く当たった気がするが、それでも同じ内容の確認ミスが、偶然にもこのような頻度で起きるものなんだろうか。常識的に考えれば、そうではなかろう。自ら提供しているサービスについて、職員は十分に把握していないのではないか――それを証明するかのようなトラブルが、実はもう一つあった。



転居
2003年2月16日(日曜日) 雨

同じ大阪府内だが、うちの実家が市外に転居することになったらしい。考えてみると、馴染みのある特定の場所から、自分とは何の関係もない場所に実家が移ってしまうというのは、とても奇妙な感覚だ。いままでの実家は、かつては自分も暮らしていたことのある、目を瞑っていてもカベにぶつかったりしないような家だったのに、次に行ったときはもう、そこは空き家になっているか、別の家族の家になってしまっているのである。代わりにあるのは、見知らぬ街に建つ、見知らぬ家だ。ちょっと顔を見せてやるかと、思って行ってみたら途中で道に迷ったりするかも知れないし、用を足す際には「トイレどこ?」と聞かなければならないかも知れない。親が住んでいるという特殊性がある以外、余所の家と何ら変わりがない家を想像すると、やっぱり奇妙な感じがする。

もっとも、それは慣れの問題であって、故郷がどうのといった感情とは、ぜんぜん違うものだと思う。わたしは、土着感とか郷土愛といったものは、ほとんど感じたことがない。物心がついたころから数年ごとに引っ越しを繰り返してきたし、仮住まい以外の家に住んだことがないから、そもそもそういうことを感じている暇などなかったんだろう。いまの実家もやはり仮住まいなので、今回の転居も初めから決まっていたことなのだが、それでも妙だと感じるのは、あそこでの生活が、思っていた以上に楽しかったからかも知れない。しかし、そこは故郷なのかと問われると、やっぱりピンと来ない。馴染めたか、暮らしやすかったか、といった条件をほどよく満たしていただけのことで、これが郷土愛だとか言ったら、本物の郷土愛が裸足で逃げてしまうだろう。

どこそこでなければ、どうしても嫌だと思うことはないんだから。



マウス
2003年2月15日(土曜日) はれ

いままで使っていたマウスがくたばってきたため、新しいマウスを買ってきた。最近は、パソコンなんか動けば何でも良いと思っているのだけれど、疲労のたまり具合に直結するマンマシンインタフェースだけはケチる気がしない。意図した通りにポインタが動かないようなのは、以ての外なのだ。ケチらないと言っても、それはあくまで品質の話である。とにかく値段の高いヤツを見ていくと、使用方法がよく分からないほど大袈裟な形状のものもあるけれど、あんなのが良いと感じたことはない。やっぱり、いちばん使い勝手がいいのは、滑りが良く、高精度で、剛性感のある(握ったときにギシギシと軋んだり、ボタンがガタついたりしない)、ごく基本的なマウスだと思う。

これらの条件を比較的よく満たしているものとして、昔から Logitechのマウスを使っている。いままでは機械式だったけれど、今回は光学式のヤツだ。そういえば、初めて使った光学式マウスがあまりに使い勝手の悪いものだったので、光学式マウスには長らく悪いイメージを持っていた。機械式マウスの方が優れていた時代に、敢えて光学式マウスが使われていたのは、ボールとローラとの摩擦によって、静電気が起きるのを防止するためだったとか。そんな話をちらっと聞いたことがあるのだが、しかし、動かすたびに青白く放電するようなマウスなんて見たことがない。値段が機械式の何十倍もしていた光学式を売り込むためのハッタリだったのかも。




2003年2月12日(水曜日) くもり

どうして――どうしていつも、気付くのは失ってからなんだろう。あれー、ないよ、ないよ、どこいった、などと独りごちながら本格的な発掘作業を始めるたびに、呆れ果てた同僚たちから「ブラックホール」と揶揄される自分の机。たった15分ほど前に書いたはずの電話メモがまるで神隠しのように消えてしまうぐらいなのだから、何日か前に見たような気がする書類に至ってはどれほど激しく行方不明になっているか推して知るべしだ。何かを失うごとに、何でもかんでも取り敢えず机の上に置くのやめよう、大事な書類はちゃんとファイルに綴じよう、と反省して整理してみたりするのだが、一週間と経たないうちに机が元通りの状態になったあたりで、そんなことはすっかり忘れてる。片付けをサボるんじゃなかったってことに気付くのは、いつもまた何かを失ってから。

しかし、一時的にでも心を入れ替えて机の上を整理すると、今度は何をどこに片付けたのか思い出せずにより大規模な発掘作業をする羽目になるという問題が生じるので、一概に片付ければいいとは言えないのも事実だ。なまじ片付けたりすると、あれはどこかのファイルに綴じたんだろうか、それともあのときゴミだと思って捨ててしまったんだろうか・・・などと悩むことになるのだが、机の上に放置されたままである限りは、たとえそれがどれだけ行方不明になっていようとも、机の上を隈無く探せば必ず出てくることが保証されている。わたしみたいに整理整頓が非常に下手くそなヤツは、片付けない方が幸せになれることもあるのである。しかし、これで通称 "ブラックホール" をネタにするのは、何度目だろう。ほんとにどこへやったんだろうかな、あれ・・。



壁画
2003年2月11日(火曜日) くもり/雨

多少デフォルメされているけど、今日の猫模様。東急東横線の高島町−桜木町に住まう落書きのねこさんだ。

鉄道の高架橋といえばただ橋脚が並んでいるだけで、ラーメン構造の見本みたいなものが多いけれど、この1kmほどの区間では、橋脚と橋脚の間がコンクリートブロックで埋められているためカベが延々と続いているような状態になっており、そこに何らかの絵が絶え間なく描かれている。絵といっても、誰かが勝手に描いたイリーガルな落書きなのだが、いわゆる薄汚い落書きとはちょっと違って、ここは本格的なものが多いので、日本有数の落書き区間として知っている方も多いだろう。新たな落書きを描くために上書きされてしまう以外は積極的に消されることもないので、警察や東急も黙認してという話もあるが、どうなんだろうか。標識など、カベ以外への落書きが目立つのは確かにいただけないが、わたしは、街の中にアナーキーな自由帳があるのもいいと思う。

ときどき壁画のような落書きを鑑賞しながらここを歩くのが好きなんだけれど、この区間は廃止が決定している。跡地利用の話があるぐらいだから、カベはおろか、高架橋そのものがなくなってしまうのは時間の問題だろう。いまごろになって、また廃線反対の運動が少しだけ盛り上がりを見せているけれど、いまさら騒いでみたところで決定は覆るまい。ここを通るとき、そなたは美しいなどと声をかけられなくなるのは、ちょっと残念だ。



でんこたん
2003年2月10日(月曜日) くもり/雨

今日の猫模様は目だけ。瞳の中に自分がちょっとだけ写ってる。

あたしのせいだけど、よろしく――原発問題で東京電力さんは節電キャンペーンなるものをやっているけれど、じゃあ仕方がないから節電に協力しようか、なんて人はほとんどいないだろう。わたしもわりと節電する方だけれど、単に貧乏で電気代が高くなるのが嫌だからやっているだけである。しかし、本当に電気が本当に足りなくなったとしたら、計画停電でもやるんだろうか。逆に、電気が「余っちゃった」ことは、震災で阪神地区が一斉に停電して、発電量が電力需要を大幅に上回ってしまったときに、実際にあったという。その結果どうなったかというと、系統周波数が60ヘルツよりも少し高くなってしまったらしい。発電機の負荷が急に軽くなり、速く回りすぎてしまったからだろう(同期発電機の周波数は回転数と比例する)。普段でも、需要と発電量の不均衡を調整して系統周波数を安定させるために、やたらと応答性の良い秘密の(?) 発電所が動いているらしい。

一昨日の雑記で書いた「カレーそば」について、多くの方々から「そんなもん、どこにでもある!」というご指摘をいただいた一方、「自分も初めて見たときは驚いた」という同意もいただいた。このことから見て、カレーそばの知名度には地域差があるようだ。その分布は、うどん派が多い地域と、そば派が多い地域と、ほぼ一致するのかな? とも思ったが、そば派が多数を占めると思われる長野県の人に聞いてみると「聞いたことがない」との由。それどころか、そばをカレーと一緒に食べるなど「邪道にもほどがある」と怒られてしまった。逆に、香川県では、やっぱりカレーそばなど見かけることはなかろうし、大阪あたりでも見たことはない。カレーそばが日常のメニュとして存在しうるのは、東日本地域のうち、特にそばの産地として有名ではない(=邪道が許される)ところ、ということになるのだろうか。



カレーそば?
2003年2月8日(土曜日) はれ/くもり

相変わらず忙しいが、今日のニセモノ猫模様。でも、かわいい。

謎の水中オブジェを見た人から、あれは綺麗だったからぜひ目の前で再現して欲しいという依頼があったので、余っていたベンジルアルコールを使って新たなものを作ってみた。ただ、まったく同じように作ったのでは芸がないということで、さまざまな色のマジックインキをご持参いただいた。それを使って着色したところ、上手い具合に蛍光色っぽいパステルカラー風のものができた。光に当てると、かつてない美しさに輝いてくれる。う〜ん、こりゃいい。

「カレーそば」なるものを出す店に初めて遭遇した。「カレーうどん」ならいくらでもあるし、「カレーラーメン」も希ながら見かけることはある。だったら広い世の中には「カレーそば」があっても不思議ではないのだが、実際に聞いたのは寡聞にして初めてのこと。そんなものがあるとは考えもしていなかったので、何となくカレーの文字がある食券を買ってカウンタに出したとき、「うどんですか、そばですか」と聞かれたときは、はぁ? って感じだった。虚を衝かれて冷静な判断ができず、思わず「うどん」と答えてしまったのだが、いま思えば、そばにチャレンジしておけば良かったかも知れない。どうせカレーの味が勝っているものだから、うどんもそばも大して変わらないと思うが、気になると言えば気になる。



郵便バーコード
2003年2月3日(月曜日) はれ

久々の猫模様にゃんこたちが並んで眺めていたのは、海に沈む夕焼けでした。かなり前の城ヶ島にて。

MS Access で比較的簡単に郵便のカスタマバーコードを印刷できることが分かり、何となく使ってみることにした。大まかに言うと、テーブルを作成する際に、住所入力支援ウィザードだったか、そういうようなヤツで郵便番号や住所が書かれているフィールドを指定しておくと、数値化された住所(郵便番号のほかに、町名以下の番地や部屋番号なども含まれる)が専用のフィールドに自動的に出力される。実際に宛名ラベルなどを作成する際には、レポートにバーコードコントロールなる Active X コントロールを貼るっておくと、この数値化された住所を元に、当該部分にカスタマバーコードが印刷されるという仕組みだ。使い込んでいる人ならやったことがあるかも知れないけれど、こんなことが出来るとは知らなかった。

しかし、試しに作ったデータベースで住所入力支援を使ってみたところ、「支援」という名の余計なお世話が行われるおかげで、既成のデータベースにそのまま組み込むと大変な事態になることが判明した。単に住所データを数値化してくれるだけなら良いのだけれど、たとえば郵便番号のフィールドを書きかえただけで、それを元に住所のフィールドの「入力支援」をやってくれる。一見便利そうに見えるが、もし住所のフィールドに何らかのデータがすでに書かれていた場合、それが有無を言わさず上書きされるという下品な仕様はさすがに危険。町名まではそれで入力されるが、丁目や番地以下は闇に葬り去られてしまうからだ。この仕組みを無効にしようとすると、こんどは全体が動かなくなったりして、うまくいかない。

色々と考えた末に、結局は壊してもよい顧客データベースを作業用に別に一つ作って、その上で全顧客分の住所を数値化することに成功したが、これがかなり骨の折れる作業だった。ほとんどは機械的に処理できたのだが、元々は人間が入力したデータなので、どうしても多少の誤りがあり、こういうのは手で治すしかないからだ。もっとも多いのは郵便番号の入れ間違いだが、このぐらいはまだ何とかなる。いままでも定期的に検査して訂正していたから、まだ少なかった方だろう。それよりも面倒だったのが、住所そのものの不備だ。例として、横浜には「宮元町」という地名があるのだが、希に「宮本町」などと書いてあったりする。すると、実在の地名だという先入観ゆえに、原因に気付くまでにちょっと悩む羽目になるのだ。

横浜市内の住所が圧倒的に多い顧客データベースの維持やエラー訂正をやっていて、もっとも嫌らしいと感じるのは、「町」の有無だけでまったく違う場所になってしまう地名だ。数こそそう多くはないが、たとえば「戸塚区汲沢」と「戸塚区汲沢町」。ともに別個の場所であり、それぞれに違った郵便番号が振られているのだが、あまり気にしない人もいるようで、正しくない方が書かれていることもある(郵便番号や番地から判断がつくので訂正不可能ではないけれど)。たまに住居表示が行われて、たとえば「栄区笠間町」が「栄区笠間」に変わったりしたように、もともとは「町」があった地名から「町」が取れたりすると、次第に両方が混在するようになってさらにややこしいことになったり・・・。みなさん、郵便番号と住所は正確に書きましょうね(担当者の嘆き)。



突撃実験室