[H8-ML(4548)] ESD (Was Re:する注意など。)
From: Shigeru Makino <mac@xxxxxxxxxxxxxx>
Date: 2004年03月08日(月)15時53分15秒
macです。

澤口@一升金 さん <issho@xxxxxxxxxxxxxxxxxx> wrote:

follow up 感謝です。

> hisaさんの<004b01c40463$9c701100$0d01a8c0@da12>から
> >カミナリの放電は金属で囲まれた車などの中にいると人は安全といわれていますが、
> >電子機器は無傷でいられないのですね! うなってしまう。
> 電流経路を考えれば分かるかと思いますが、カミナリの場合は
> 車のすぐ近くが大地です。車の外側を通って大地に放電する経
> 路の方が、車の中の人体を通って大地に放電する経路よりイン
> ピーダンスが低いのです。

ただし、車内でも真ん中にいること、そしてドアノブや、
バーキングブレーキのレバーなどに触らないこと。

澤口@一升金さんがおっしゃったのと同様の理由で、
人体を通ったほうがインピーダンスが低くなったり、
近くなれば、分流した電流が流れます。

私が通っていた小学校の校庭にある
木製の旗ざおに落雷したことがあります。

旗ざおは、縦に割れ固定していたボルト付近は、
燃えて竿は、倒れました。

それだけでなく、そこから50mほど離れた、
プールにいた生徒達も感電し、
特にプールサイドを歩いたり座っていた人は、
接地面に軽いやけどをしました。

高圧でかつ高電流の雷は、直撃しなくても、
周りに誘導雷を発生し、多量のプラズマをばら撒くので、
こうした現象が起きます。

車の中にいても、フロントガラスを突き抜け、
ダッシュボードを直撃した例があるそうです。

また、タイヤはかなり導電性がよいのですが、
それでも金属ほどは低くないため、
直撃雷でタイヤが燃えてパンクした事例もあるそうです。

私は、農業用の温室の自動制御機も、設計製作したのですが、
雷の季節になると誘導雷で故障したものが修理で戻ってきます。

どこがやられたか調査し、順に保護回路を、
付加して行った結果あまり戻ってこなくなりました。

天災は、無償保証の対象外なので、
かえって修理の儲けは減りましたが、
農家の口コミは結構すごいもので、
雷で壊れにくい装置として評価が上がり、
リピートオーダーが増えました v(^_^)

> >静電気の扱いがいまいちわかってないのですが、機器へ帯電には対策必要ないので
> >しょうか? 
> まぁ、局部的に電位傾度の高くなる形状をつくらないことと、重要な電子部
> 品を通らずに放電がグランドに抜けていくような配置パターンを作ることで
> す。

まさにその通りです。
でも、金属筐体でこれをやるのは結構難しい。

シャーシとカバーを普通に作って塗装して螺子止めした場合、
螺子部分が「局部的に電位傾度が高い場所」になり、
その付近で障害が起きます。

このため、接触部分は、塗装がつかないよう
マスキングする必要があります。
鉄板だとマスキング部分がさびるので、
ボンデ鋼板か、鍍金をしてからということになります。

アルミの場合、普通のアルマイトだと電導性が悪いので、
電導性アルマイトをかける必要があります。

それで足りなければ、導電性のクッションや、
金属製のつめなどESD, EMC対策部材を使わないとだめですね。

持ち運びに便利なように金属の取っ手をつけると、
取っ手とケースの接触面が、
「局部的に電位傾度が高い場所」になります。

こっちは塗装をマスキングすると美観を損ねますし、
取っ手とケースの接触面はもともと小さいので、
さして効果が上がりません。

しかたなく、取っ手の裏側に菊座金をかまし、
太い銅線でケースのアースポイントまで、
接続して、何とかパスしました。

…という訳で、できるならケース外側は、
絶縁物で覆ってしまうほうが、
金属筐体に万全な対策をうつより、
ずっと簡単ということになります。

ホビーなら、壊れたら自分で直すので、
そんなに気を使うほどではないですが、
プロの場合、修理のために直接金銭的なダメージを受けるし、
「壊れやすい装置」という印象をエンドユーザーに与え、
信用が落ちします。

でも、ESD試験、自分で組上げた試作品に、
バチバチ静電気ガンをぶっ放すの、
結構自分の分身が食らっているようで、
なんかとても「痛い」です。

間違って本当に自分に15kVを放電させちゃって、
怪我したこともあるんですが…

-- mac

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