[H8-ML(5066)] Re:モーターから回り込む電流でボードを壊さない方法
From: Sawaguchi Yuji <issho@xxxxxxxxxxxxxxxxx>
Date: 2004年11月13日(土)04時03分39秒
澤口@一升金です。

<concon@xxxxxxxxxxxxxxx>さんの<FCEIJPOFOBAKIFJCLCJIKENLCBAA.concon@xxxxxxxxxxxxxxx>から
>一番左がモーターからの激しいノイズを吸収するため、
>二番目が電源ノイズの低周波数帯、
>三番目がおなじく高周波数帯、
三端子レギュレータ周りの場合は、微妙にコンデンサの意味合いが違う
ので、ちょっと解説。
一番左のコンデンサは、(言葉のあやみたいなものですが)ノイズ吸収
ではなくて、サージエネルギーの一時保存です。
整流子付きの直流モーターでは電機子を流れる電流が強制的にカットさ
れる瞬間があるわけですが、電機子というのは等価的にはインダクタン
スですから、電流を流し続ける方向に作用します。
すなわち、電機子に蓄えられた磁気エネルギーが電流の形で放出されま
す。
等価回路で言えば、空気が高抵抗体としてそれに定電流源が直列に接続
された形になります。このことによって起きる電位上昇を抑制するのが
この場合のコンデンサの役割です。

二番目のコンデンサも、ノイズ対策という意味合いはありません。これ
は、三端子レギュレータから電源側をみた場合の過渡インピーダンスを
下げることを主目的とします。瞬間的に負荷電流が増えた場合に、電源
の内部抵抗や配線インピーダンスで電圧が下がるのを抑制するためのも
のです。
ですから、本来リップルやノイズのないバッテリー電源であってもこの
コンデンサを入れます。

三番目のコンデンサも、この場合はノイズ対策ではありません。三端子
レギュレータというのは内部構造的には非常に高増幅率のアンプになっ
ており、負荷電流が適当な周波数で変化するとか、あるいは電源ONOFF時
に高周波の発振波形が出てしまうことがあります。これを防止するため
に高周波での誤差増幅率を下げる目的で使われます。

>という場合、この方法を使っても、電流は回り込んでくるよ、なんていう
>ことはありうるでしょうか?
電流が回り込むのではなくて、高周波サージ電圧が問題になります。
サージパルスは対策をしなければ容易に電源電圧の数倍ないし数十倍で、
パルス幅も数μsecというケースがあり得ます。
こういう領域ではケミコンはただの高抵抗、三端子レギュレータは
スルーということになります。あるいは、電磁波でCPUがラッチアップす
るかもしれませんから、部品配置や配線の位置関係も含めて万全の検討
を期したいところです。

>素人目には、これだけコンデンサがあって、しかも電源側に返して
>いるのだから、もうCPUボードの安全は確保した! と思うのですが。
サージに関しては回路図の定数を高周波でのそれに読み替えて、さらに
回路図には出てこない、配線インピーダンスとか配線間の結合インピー
ダンスとかを配慮することが重要になります。例えば、モーターのGND
はどこへつないでもいいというものではなく、できるだけ電源に近いと
ころで、長さも極力短くとります。
ケミコンだけでは電位上昇に適応しない場合はクランピングの低電圧バ
リスタやツェナーダイオードを入れる場合もあります。

なお、CMOS回路というのは電圧が低くても壊れるケースがあり得ます。
定格動作電圧よりも数十%低い状態が続きますと、動作が不安定になり、
大電流が流れてしまうことがあるのです。

スレッド概略
[5060(R)](起点)
 └[5064(U)]
   └[表示中]
     └[5068(1)]


投稿順に移動
[←前の記事へ(P)]
[→次の記事へ(N)]


リスト表示へ
[このスレッド(T)]
[本記事の前後(L)]